小説(4)

文庫本の話のつづき。ファンタジーもの。
まずはドラゴンランス。私は中学生時代に富士見文庫で読みました。文庫本表紙の左上のピカピカが印象的でした。
特に、「戦記」初期のパーティー編成がよかったですね。「伝説」も時間系SFみたいで好きだったのですが、やっぱりドラゴンランスの醍醐味は、キャラクターの人生の交錯と戦闘での協力にありますから、「戦記」初期が最高だと思います。
その後、 城砦の赤竜までは角川つばさ文庫からも出ています。
 
ハイ・ファンタジーといえば指輪物語。これも中学時代に読みました。評論社のみです。表紙の文字がLOADになったりもしました。なお、完全ガイドは河出、事典は原書房です。
ドラゴンランスとは異なり、指輪は後半の方が面白いですね。というよりは、前半は最初は読み飛ばしてもいいでしょう。「書き進めていくうちに面白くなった」のですから。

小説(3)

クリスティについて。
子ども向けのものが、ポプラ社からも何冊か(「ABC」「オリエント急行」など)でています。文庫版、ミステリーボックス、ポケット文庫版があるようです。「アクロイド*1」のタイトルは「いったい誰が犯人だ!?」となっていますが、そのポプラ社版はウィキペディアの「アクロイド殺し」の項目にはリストアップされていません。ウィキペディアでは、「ABC」についてはポプラ社文庫も掲載されているのですが、こんどはあかね書房(少年少女世界推理文学全集)が載ってません。あかね書房は、私が読むきっかけになったシリーズです。
 
ポプラ社のミステリーボックスシリーズには、クリスティと並んでエラリー・クイーンもあるようです(「悲劇」シリーズ)。しかしエラリー・クイーンについてはハヤカワの「クリスティ文庫」に相当する全集ものがないので、全部集めようとすると難しいです。悲劇シリーズは角川、国名シリーズは創元、中・後期は早川、みたいに分けて集めることになります。私は中期のものが好きなのですが、推理ものとしては若干すっきりしないですね。そのすっきりしない感じが私は好きなのですけれども。

*1:The Murder of Roger Ackroyd

小説(2)

乱歩の全集はいくつか出ていますが、そのうちの一つが光文社文庫の全集です。さきほどの幽霊塔は「第11巻 緑衣の鬼」に収録されていますから、探しにくいかもしれません。なお緑衣の鬼もリライトです。光文社文庫は、ほぼ全ての作品が収録されており、注釈・解説が詳しいです。
ほかには、初出時の挿絵が掲載されている創元社版、天野喜孝のイラストが表紙になっている講談社版、さらにはポプラ社のクラシック(1〜26)などがあります。個人的には、やっぱりポプラ社の27〜46が再版されてほしいです。
 
また、アガサ・クリスティーについては、早川書房クリスティー文庫を出しています。これもほぼすべての作品を収録したものなのですが、はてなキーワードの記述からもわかるように、どうも評価があまり芳しくないようなのです。

「新訳」を謳っているが、実際に訳者が代わったものは数冊しかない。また、数人の訳者を代えたというだけであって、そうでない作品については現代事情にそぐわない古い訳語に手を入れるなどの工夫や変更が全くなく、旧文庫の訳文のまま。訳者を代えた作品の基準も不明。「新訳」は、新文庫創設の意義とは言えない。

また、解説者が推理作家やミステリ評論家であることも「売り」の1つだが、中にはかなりの外れもあるし、却って、訳者のあとがきが読めなくなって残念な作品もある。

創元社のシリーズが高評価なのですが(私も、創元社の雰囲気の良さが好きです)、しかし「そして誰もいなくなった」などは早川のみです。そのクリスティー文庫でも、「Indian Island」は「インディアン島」と訳されている版と「兵隊島」と訳されている版があります*1
そしてハヤカワからは「クリスティー・ジュニア・ミステリ」という、こども向けのクリスティ本が出版されているのですが、これが、子ども用の改変が少ないために、評価が分かれています。原作に忠実だという一方で、子どもにはわかりにくいという点も指摘されています。たとえば陪審員の説明が本文で追加されているのですが、それは裁判官に書き換えてもいいかもしれません(ポプラ社の乱歩では、原作の予審判事を登場させていない)。どうせ改変するのであれば、わかりやすいほうがいいですから。

*1:発表当時は「Nigger Island」

小説

江戸川乱歩著作権消滅の来年に向けて、青空文庫が乱歩作品の公開を準備中だが……
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1512/11/news148.html

江戸川乱歩の少年探偵団シリーズでいえば、今では絶版になっている27〜46冊目が、ポプラ社から再販されることが期待できます。そうなった暁には、改めて全巻を読破してみたいものです!

江戸川乱歩著作権保護期間が終了する、という記事です。しかしここでは触れられていませんが、ポプラ社の27巻以後は書き直しされたものなんですね。ですから少し話がややこしくなります*1
青空文庫で使っている底本も、光文社のものが多いようで、ポプラ社の書き直し版は使われていないようです。

その底本の一つ、幽霊塔は、ウィリアムソンの「灰色の女」を黒岩涙香がリライト、それを江戸川乱歩が「時計塔の秘密」としてリライト(実際は氷川瓏)したものです。最近では岩波からも出版されています。岩波版では宮崎駿が口絵を担当してます*2宮崎駿も幽霊塔に影響を受けており、作品中の時計塔はルパン三世カリオストロの城に登場しています。

私は、小学生時代にポプラ社で「時計塔の秘密」を読みました。乱歩作品は、猟奇編もいいのですが、やっぱり本格ミステリのほうが好きです。しかし乱歩本人は本格長編ものはあまり得意ではなかったようです(プロットの不備などが時々指摘されています)。
 

*1:乱歩の子息である平井隆太郎氏も先日逝去されました

*2:しかしその口絵はネタバレですから注意。

続々・趣味ちゃんねる

たとえば私は、「機器の接続」が好きでした。オーディオラックを部屋の真ん中に置き、無線とかアンプとか、機器の裏側をいつでもいじれるようにしていたんです。「機器の美しさは裏側にこそ宿るんだ」とか何とか言い放ってたんです。ところが近時の機器は、ケーブルをつないでそのまま使えるというものは少なくなり、ソフトウェアの調節をする必要が出てきました。そうなると接続という行為の意味が変わってきて、どのケーブルを使ってどういう順序でつなごうか、ということよりも、機器のパネルを操作して設定をいじることがメインになってきたのです。さてそうなってくると、趣味は大きく2つの流れに分かれます。ソフトウェアの分析に進むものと、アンティーク機器を好むものです。オーディオやバイクなどもそんな感じでしょうか。私はどちらかといえば後者のほうが好きなのですが(やっぱり原始的な「つなぐ」というのが好きです)、しかしアンティーク機器を「並べる」となると違和感があったりします。アナログプレイヤーと真空管アンプを置いたらそれで満足であって、そこにレトロスピーカーも置いたら過剰、っていう感じでしょうか。
それと、前にも書いたことですが、やっぱり年齢が上がってくると、集める物が「まとも」なものになってくるんですね。スピーカーを集めるにしても、拾ってきた段ボール箱にバッフル取り付けましたみたいなものを並べて許されるのは若い頃までかな、という感覚が出てくるんですね。
まあ、「好きなものを集めていればそれでいいではないか、それが趣味ってものではないか」と言われればそれまでなんですけれども。
 
あと、乗り物についても、鉄道車両や軍用機についても、新旧の葛藤があります。新型車両が好きだという人もいれば、あんなコンピュータの塊は好きになれない、動きが手に取るようにわかる蒸気機関車や旧式戦闘機のほうが好きだという人もいます。これについてはどちらかといえば私は、新しいもの好きですね。いや小型SLもメッサーシュミットも好きなんですけれど、電気機器と比べると旧式マシンの魅力は薄いかなという感じです。しかし乗り物の世界もコンパチ化というかマルチロール化が進んでいて、どこへ行ってもE233系だったり、戦闘機の攻撃性がみられない「なんでも機」が幅を利かせていたりする現状には、やや不満だったりします。