ゲームの話。

ゲームの話です。
またウィザードリィの話題。正月に知人と話をして、実際にプレイしてみました。
縛りプレイというほどでもないのですが、何かテーマを持たせてRPGをプレイするというのは、みなさんよく試されているかなと思います(たぶん)。
今回のテーマは、「転職しない」パーティー、つまりは終身雇用制です。転職しないで行けるところまでいってみよう、というわけです。個人的には、転職やパーティー入れ替えというのはウィズの本質に近い部分であって、それを封じるというのはどうにも気が進まないのですが、その一方で、転職によってキャラ育成がパズルのような要素を持ってしまい、転職の順序と習得呪文・技能・キャラパラメータの関係などで悩んでしまうというのも、否定できないことではあります。というわけで、最初に作ったキャラで押し切ってみます。
そうなると、まず、忍者やロードが作れません。これは痛いです。特に忍者のクリティカルがダメだとなると、後半に頼れるものがいなくなってしまいます。そして、魔法使いなども、HPが低くて後半に役に立たなくなりますから、作るわけにはいかなくなります。なお、同じ理由で盗賊もあまり作りたくないのですが、これは、鍵開けがほかにいなければ作らざるを得ません。
 
というわけで、知人の意見や思いつきを基にして、6人パーティーを起こしてみました。
1.剣士 ―― 私がしょっちゅう作る剣士。直接攻撃の威力で勝負し、呪文は覚えさせない方針。鎧冑ガチガチの重装備で、パーティーの盾となるときが多い。イメージは、DQ4ライアン。

2.魔法戦士 ―― 呪文系から戦士に転職して作ることもあるが、今回は終身雇用制ということで、侍の道を進む。魔法戦士なので魔法を使えるが、戦闘系の数値にステータスを割り振るため、詠唱の能力はやや低めとなっている。イメージは、幻魔クーフーリン

3.軽戦士 ―― 装備を軽めにして敏捷性を高める戦闘要員。鎖帷子や和風の装束など、シナリオによって多少様子は異なる。呪文も時々は使う。イメージは、ティカ・ウェイラン。

4.トリックスター ―― シナリオによって、盗賊であったり召喚士であったり。戦闘でも、直接攻撃よりは「楽器を演奏」「炎を吐く」などで戦う。ウィズでは盗賊系として、弓矢を使うことが多い。イメージは、レゴラス。特に、要塞の階段で、盾をスケボー代わりにして弓矢を放つシーン。

5.司祭 ―― 僧侶系呪文を使用してパーティーの治療を担当。戦闘もできる。攻撃魔法系などはあまり覚えさせない方針。イメージは、DQ3女賢者。

6.魔導 ―― 魔法使い系呪文を使用してパーティーのアシストを担当。イメージは、レイストリン黒。

 
では、このパーティーの弱点について考えてみます。いきなり弱点ですよ。まず序盤では、上級職の成長の遅さがツラいです。侍はなかなかレベルが上がらないし、ビショップは高レベルの呪文をなかなか覚えない。魔法使いやアルケミストなどの呪文専門職を入れたくなる気持ちにもなります。

そして終盤では逆に、初級職の存在がネックになります。侍などと違って戦士はレア武器防具を装備できないことが多いので、攻撃力はイマイチです。盗賊やレンジャーも非力です。また、同じ呪文を1ターンに多く浴びせて(たとえばラバディ・コルツなど)、確率を増やしたり、重ねかけを1ターンで済ませるという方法も、今回はとれません。転職しないのでキャラの呪文系統が1しかないからです。

そもそも、転職しないということは、万能キャラを作らないということであり、それはパーティーの役割分担を重視するということにつながります。一人でもやっていけるくらいに強い者を6人集めましたっていうのは単なる「複数キャラのプレイ」であってそれはパーティープレイではないんだ、という思いがあるから、あえて何でも屋を作らなかったんです。

そうなると、一つのことには秀でているキャラになってほしいのですが、今回のパーティーについては、そこに不安材料があります。ウィズでは、シナリオが進むと戦闘員には一撃必殺が要求されます。敵のHPと破壊力が異様に高いからです。侍は、ムラマサの高い攻撃力で、その期待に応えます。しかし戦士は、そうはいきません。いつまでたっても中途半端な攻撃力・防御力しかありません。これはキツいです。


弱点ばかり書いているのもあれなので、今回のパーティーの魅力についてもみておきましょう。それはやっぱり、キャラの個性が強いということです。個性といっても、「〜することができない」という意味でのネガティブな個性ですが。たとえば呪文系キャラは、司祭と魔導に分離させました。FF3でいえば、「忍忍賢賢」という無個性パーティーではなく「戦モ白黒」という、役割が明確になった感じです。まあ、弱いんですが。

ただですね、ウィズのキャラって、旬の時期というのがあるんですよ。初級職は序盤が旬ですし、上級職は当然終盤に強い。そうなるとどうしても、最も効率的なプレイスタイルは、転職とパーティーのキャラ入れ替え、ということになります。それをしないということになるとですね、どうなるかといえば、序盤では「使えるキャラと、成長が遅くて使えないキャラが併存」ということになり、終盤では「使えるキャラと、かつては使えたキャラが併存」という状態になるわけです。6人全員が旬であるという状態にはなかなかなってくれない。これが個人的には非常にスッキリしないんです。でもよく考えてみたら、現実の人間のグループも、そんな感じじゃないですか。旬の人間と、場の状況にあまり合っていない人間と、かつては頑張っていたんだけどなっていう人間。なんかそういう、現実がうっすら投影されているという点が、ウィズの醍醐味であり、また、いい年をした人間がRPGをプレイするときに陥りがちなワナなんですね。