片町線

おおさか東線開業を反映して、JR西日本事業概要が変更されていました。
それをみると、片町線の項目は、以下のようになっていました。


片町線
 木 津〜京 橋 44.8km
 正覚寺(信)〜平 野 1.5km
 鴫 野〜吹 田 9.1km

気になったのは「正覚寺(信)〜平野」の区間です。まず、この区間片町線に属しているのは、歴史的経緯を知らないと理解できないでしょう。片町線の他の区間からは、完全に離れてしまっていますから。
そして、この区間はいわゆる「1種なき2種」だったはずです。この区間は、おおさか東線開業前は次のようになっていました。


片町線
 木 津〜京 橋 44.8km
 放 出〜八 尾 10.4km
 鴫 野〜吹 田 9.1km


放出〜平野ルートのほうは、もともとJR貨物が2種で事業基本計画を提出していましたが、JR西日本が1種で掲載していなかったので、「JR貨物はどこの線路を使って列車を走らせているのか?」という問題がありました。
今回の事業概要変更により、その問題は解消しましたが、こんどは「正覚寺〜平野についてはいつ1種を申請したのか」という問題が起きました。

時系列に沿ってみてみます。まず、国鉄時代には、路線名の告示では、片町線は以下のようになっていました。


片町線
木津 片町 45.3
放出 八尾 10.4
放出 平野 8.4
放出 吹田 10.7
 
こののち、鉄道事業法の施行により、1〜3種のいずれかの事業免許を運輸省に申請することになりました。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/ns/tetsuduki/tetsudou.htm

2.鉄道事業を行おうとする場合の申請手続
(1) 第一種鉄道事業の場合の申請手続
<1>第一種鉄道事業(他人の需要に応じ、鉄道による旅客又は貨物の運送を行う事業であって、第二種鉄道事業以外のもの)を経営しようとする者は、路線ごとに国土交通大臣の許可を受ける必要があります。
 
<2>そのため、事業を始めるのに先立ち、許可を受けようとする者は、次の内容を記載した鉄道事業許可申請書を国土交通大臣に提出していただくことになります。
・氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
・予定する路線
・経営しようとする鉄道事業の種別
・業務の範囲を旅客運送又は貨物運送に限定して許可を受けようとする場合には、その旨
・期間を限定して許可を受けようとする場合には、その期間
・省令第5条第1項で定める事項を記載した事業基本計画(鉄道の種類、施設の概要、駅の位置及び名称等)
・その事業の開始のための工事の要否
・鉄道線路の譲渡を受け、又は鉄道線路を使用させるときは、その旨並びにその相手方の氏名又は名称及び住所

これに基づき、JR西日本とJR貨物は事業基本計画を提出しています。
このときのJR西日本の提出内容が、上述の「おおさか東線開通前」のものです。もういちど載せてみます。


片町線
 木 津〜京 橋 44.8km
 放 出〜八 尾 10.4km
 鴫 野〜吹 田 9.1km


国鉄のものと比べるとわかるとおり、JR西は、「放出〜平野間」を申請していません。この区間平野駅構内扱いとしているのか、とも考えられなくもないのですが、しかし、JR貨物は放出〜平野間の2種事業を提出しているのです(これがいわゆる「1種なき2種」)。国鉄時代に設定されていた営業キロがJRになったとたんに消えた理由は謎ですが、ともかく、正覚寺〜平野の区間は、JR西日本の「路線」ではないことになっていました。
 
そして今回の変更になるわけです。新線開業手続のようなものもなく路線が復活してるようになっています。もちろん、JR西の事業概要は基本計画を正確にあらわしたものではないというのもありえるのですが、最も可能性の高い解釈としては、もともとJR西がうっかり、この区間を事業基本計画に(キロ設定して)含めていなかった、というところでしょうか。

だとすると、大阪環状線〜梅田貨物線の区間も、いつのまにか復活することになるのでしょうか。