阪和連絡線とは何か(まとめ)

JR西日本 鉄道事業事業概要(http://www.westjr.co.jp/company/railway/overview.html)の下部に、営業線区別キロ程・駅数の表があり、そこの「関西線」の項には、「八尾〜杉本町」という区間があります。これが「阪和連絡線」です。
 
主に貨物輸送に使用されていた路線ですが、JR貨物は2003年にこの区間の鉄道事業を廃止しました(日本貨物鉄道株式会社申請の第二種鉄道事業の一部廃止についてhttp://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/08/080305_2_.html)。

こうみると、「JR西日本の第一種事業が残っている」のではありますが、しかしJR西にこの線を活用する意図があるとは思えません*1
大阪市も、廃止に関してJR西日本と協議しているようです。

大阪市会 平成19年2・3月定例会常任委員会(計画消防・通常予算)3月5日−5号

◆新田孝委員 それじゃ、外環状線につながる阪和貨物線、このことについて質疑をしたいと思います。
 阪和貨物線は、関西線の加美駅付近から杉本町までの間、10キロ弱を平野区、東住吉、住吉区の3区にわたって線路が走っております。現在この路線が残っているために、線路の横断部で歩道が狭くなったり、スーパー堤防事業をするにしてもこの線路をまたいで事業をしないといけないなど、地域のまちづくりにとって非常に中途半端な状態になっております。
 以前、別の委員会でも指摘をいたしましたが、私はこの路線を早く廃線にしてもらって、地域にとっていいものに活用できるように考えてほしいと、今も強く思っております。
 まず、現在の阪和貨物線の状況についてお伺いをいたします。
◎川田計画調整局計画部都市計画課長 阪和貨物線の状況ですが、大阪外環状線の高架工事に伴いまして、平成16年6月に関西線の加美駅付近におきまして、これまで路線がつながっていたところが、現在、接続が切れた構造となっておりまして、現在、休止状態でございます。JRとしましては、現段階で廃線という結論にまでは達してございません。
◆新田孝委員 もう3年近く休止状態で、そしてそれ以前も1日に1本程度、さび取り列車が走るぐらいでございましたもんですから、結局何十年もほったらかしにされておると、こういう状況でございます。結局このまま路線を残すなら、将来の阪和線の杉本町付近や関西線の高架化の際にも、一緒に線路を高架にしないといけないという、そしてまた横断する計画道路を整備するに際しても、道路をオーバーパスにするのかアンダーパスにするのか、そういうようなことで、本市の公共事業にも多大な費用がかかってしまうわけであります。しかし、廃線にすればこれらの費用は浮きます。公共事業の縮減が求められている市政改革の趣旨にも合致するものではないかと思っております。
 仮に廃線にした場合、どれだけの事業費が縮減できるか、概算でもいいからお聞かせください。
◎川田計画調整局計画部都市計画課長 仮に廃線された場合のケースですが、まず平野区内の都市計画道路、これ3本ございますが、これについてはオーバーパスから平面道路への変更となります。また、廃線されますと、阪和線の杉本町付近あるいは関西線、これをそれぞれ高架する場合に貨物線を接続する必要がなくなることになりますので、これらを合わせまして、概略の試算ではございますが、事業費として約100億円の縮減が図られるものと考えております。
 現在の国庫補助率を適用した場合につきましては、大阪市の負担額の軽減としましては、100億円に対しまして約45億円の負担軽減となります。
◆新田孝委員 都市計画道路3路線あります。これ本当に重要な路線であります。平野区は全くこれで分断されております。田辺出戸線、瓜破長吉線、出戸川辺線。こんな3つも計画道路分断してあって道がつけへんいうのはもう殺生やで。だから、ひとつ早急に答えを出していただきたいと思います。
 廃線すれば、まず公共事業費の削減、そして踏切がなくなる、道路が平面で交差でき、まちの分断感がなくなります。地域のまちづくりにとっても、願ってもない、よいあらわれが出てくるわけでございます。
 計画調整局がいろんな事業局を巻き込んで、この地域にふさわしい土地利用、例えば道路、緑地でも結構です。スーパー堤防にお使いいただきながら、大和川を前にして、一体化された大きな大公園などつくっていただいたら、そういうことには大阪市のまちづくり部門が知恵を大いに出し合っていただき、土地利用の計画を早くつくっていただいて、JRに物を申していただけないかと思っております。
 阪和貨物線の用地の活用について、計画調整局としてどのように考えているのかお答えをお願いいたします。
◎北村計画調整局計画部長 お尋ねの阪和貨物線は、委員御案内のとおり、東の方から申しますと、JRの関西線、愛称大和路線でございますけども、それの久宝寺駅付近から分岐をいたしまして、平野区内を南に縦断をし、大和川右岸沿いに西へと方向を変えて東住吉区を通り、住吉区杉本町駅付近でJR阪和線に合流している路線でございまして、延長は約11キロメートルと長うございます。
 こうした路線でございますので、平野区の市街地を南北に縦断する区間や、平野区から住吉区にかけましての大和川に並行して走る区間、そして杉本町へ至る街区の中を通過する区間など、沿線の土地利用条件には違いがございます。
 その中で、例えば、先ほど委員の方からありましたスーパー堤防ということもございましたけども、例えば大和川と並行する区間約4キロに関しましては、河川サイドでスーパー堤防計画がございまして、現在、国土交通省大和川河川事務所がスーパー堤防化を行う際の用地の活用方法をJR西日本と協議されているところでございますが、まだ結論を得るには至っておりません。
 このような阪和貨物線の用地の活用を図りますためには、まず所有者であるJR西日本廃線の意思決定をしていただくことが第一義的に必要だと考えておりますので、現在、JR西日本に意向確認を行っているところでございます。
 聞くところによりますと、JR西日本内部での議論といたしましては、これまで非常に少ない本数しか運行してこなかった輸送状況から見て、廃線してもよいのではないかという考え方もある一方、関西線と阪和線とを直結する路線でございますので、万一の場合に備えたバイパス機能を有する路線としてネットワーク上、残しておく方がよいのではないかという考え方もあると伺っております。
 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、仮に廃線ということになりましたならば、本市の公共事業費の削減にも通じます上、地域が抱えておりますまちづくり上のいろいろな課題も考慮すればメリットはあると考えておりますので、廃線になった場合のことも視野に入れて、用地活用について地域のまちづくりの観点からの検討を行いながら、JR西日本に対して、できるだけ早く阪和貨物線の取り扱いに関しての意思決定がなされるよう働きかけてまいりたいと思っております。
◆新田孝委員 それじゃ、JRが廃線を決めていないから、大阪市が勝手に貨物線用地をこう使いたい、ああ使いたいという議論はしにくいかもしれませんが、私としては、これまで再三指摘してきましたように、今は非常に中途半端な状況であり、貨物線が残っている現状はまちづくりにとっていろいろ問題、課題があり過ぎますので、ぜひ廃線の方向でと強く思っております。
 JRの意向確認をするだけということでなく、廃線という要望があるということを腹に持ちながら、JRと話をしてもらいたいし、地域のまちづくりの検討を早く進めていただきたいと強く申し上げ、要望といたします。

*1:阪和連絡線のような「路線の両端が旅客線と連絡している貨物専用線」は、貨物線であっても旅客会社側が第一種事業者となるのが通常であり、この線もその例に従っているわけですから、JR西が積極的に第一種事業を取得しているというわけではないのです。