国会会議録から阪和貨物線を眺める

というわけでみてみます。城東貨物線とか関西本線とかのほうは今回はおいて、阪和貨物線に焦点を絞ってみます。

第4回国会 衆議院運輸委員会第4号(昭和23年12月13日)
○有田委員長 追加日程第一二、有田二郎君紹介、杉本、龍華間に貨物線敷設の請願。
○藪谷政府委員 本線は阪和線と関西線の龍華操車場とを結ぶ短路線でありまして、延長約十二キロ、その間ほとんど九〇%までは土地を買収し、また一部は路盤工事も完成いたしております。先ほどから請願にあります阪和線の問題ともにらみ合せまして、阪和線の買収趣旨を生かすのには、この貨物線を開通せしめることが、最も大きな効果をもたらすのであります。来年度はできるだけ請願の御趣旨のように実現をはかりたい、かように存じております。

阪和線の問題」というのは、払下げに関する議論を指しています。阪和線は戦時中の買収路線なので、払下げすべきではないかという議論が、戦後しばらく続いていました。

第6回国会 参議院運輸委員会第11号(昭和24年11月29日)
○小泉秀吉君 【略】次に請願第五百六十五号、堺港臨港線完成促進に関する請願、この請願の要旨は、関西線八尾加美より木津川及び堺港に至る臨港線は、昭和十一年国土計画交通委員会において計画を見たまま放置せられていたが、今回運輸当局において本計画の半である八尾加美、阪和線杉本町間をいよいよ着工せられる由ですが、本工事を更に堺港まで延長し、四国、淡路、大和及び河内方面の旅貨物の交流輸送に資せられたいというのであります。小委員会におきましては、政府当局の説明を聴取し、審議しました結果、請願の趣旨を妥当と認めました。

他にも気になる請願が多いのですが、ここでは第565号。
以前書いたとおり、阪和貨物線は空港引込線として敷設されるよりも前に大阪東南部の貨物連絡線の一部として計画されており(だからこそ、城東貨物線の延長線をまっすぐ南下して加美・竹渕集落を通過するルートを通っている)、その計画は戦前からあったようです。

第38回国会 参議院運輸委員会第2号(昭和36年7月31日)
○天埜良吉君 【略】
 まず、大阪外郭環状連絡線旅客輸送計画であります。これは現在の大阪駅を中心として放射線状に発展した交通網が、将来周辺衛星都市の発達により隘路となりますので、新たに本計画を実施するとのことで、東海道本線と城東及び阪和貨物線を連絡して、東海道、関西並びに阪和線との直通輸送を考え、また城東線、片町線、京阪、阪神及び近鉄等との連絡線を形成しようとするものであり、国鉄新五カ年計画実施にあわせて着工するとのことであります。なお、本工事は前後二期に分けて行なうこととし、地上設備及び車両等に対する投資額は全額利用債をもって充当したいということでありました。

このころには、城東・阪和両線の電化・客車運行に関する請願も提出されています。

第43回国会 衆議院予算委員会第4分科会第8号(昭和38年2月25日)
○肥田分科員 【略】御承知のように政府の重要事業の一環として、堺及び泉北の沿岸に巨大な臨海工業地区が造成されました。これはもうすでに具体的な計画が出て、ここに多数の工場が今建設をされ、すでに生産に入っておるところもある。ところがこれらの輸送に対して何らの対策というものが示されておらないわけです。この膨大な六百万坪に及ぶところの輸送対策というものは、一体政府はどう考えておられるか。それからまた当面その直接の関係にあるところの国鉄としても何らかの対策というものがこれになくちゃならぬ、こう思うわけです。大阪府の案で見ると、百四十億をもって、そうしてこれは国鉄にもうんと一つ金を出してもらって、貨物線、それから将来にわたるところの人員輸送の面を考えておるという案が出ております。南海電鉄の考え方でも、約六十億を出して堺の浜からこれを国鉄の八尾まで持っていこうという考え方も出ておる。ところが、そういう考え方を地方で今持っておるけれども、肝心の運輸省としてあるいは国鉄としてのこれらに対する考え方というものが何ら示されておらない。
【略】
○滝山説明員 今、肥田先生の御指摘がありましたが、遠藤理事が答えられた通りでございますけれども、ルートにつきましてはいろいろと比較検討する余地はたくさんあるわけであります。今考えられておりますのは、阪和線の杉本町から大和川の北岸に沿いまして埋立地の終わりまで延ばすという案でございますけれども、その中には送電線があり、住宅地がございます。また堤防もありますので、どういうルートをとったらいいかというようなことをしさいに検討し、関西支社においてもいろいろと資料を整備いたしまして、本社と近く打ち合わせようというところまで来ておりますけれども、本社としましても、問題は非常に重要でございますので、慎重に検討して、国鉄の措置をきめたいということでございますので、決しておろそかにしているというわけではございません。いろいろ技術的な指導なり相談には乗っておる次第でございます。

阪和貨物線を泉北工業地域まで延伸する計画は、根強いようです。

第61回国会 衆議院予算委員会第5分科会第1号(昭和44年2月20日
○北側分科員 いま片町線の複線電化と福知山線の複線電化を言われたわけですが、これは非常にけっこうなことだと思うのです。ところが御存じのとおり、いま大阪を中心としてその周辺部の都市、特にこれは大臣の選挙区ですが、吹田とか寝屋川、また東大阪市、それから大東市、それから八尾市、松原市、この周辺の人口の急増というのは、いま日本で一番なんです。ところがこの大阪というところは東西の交通は全部あるのですね。たとえば京阪とか近鉄片町線とかあるのですが、南北を結ぶ線がいま全然ないのです。それで国鉄としては城東貨物線及び阪和貨物線ですか、これの電化をやって、そしてこれらの都市を結ぼう、このような計画があったことは知っておるわけなんです。
【略】
○北側分科員 一応私のほうで前に、いわゆる国鉄が当初の第三次長期計画できめられたその第一期工事について聞いたのでは、昭和四十年の三月から四十四年三月、このように聞いておったわけです。いま非常にこれがおくれてきておるんですね。その間には新大阪−加美間十九・二キロ、加美−杉本間、これは現状単線のままで第一期の工事をやるんだ、このように私は聞いておったわけです。ところが一向にできないし、これが非常におくれてきておる。いまのあなたの答弁でも全然わからないですね。だからもう少し年月のはっきりしたものがあったら示してほしいものです。
○長浜説明員 いま私ちょっと御質問を感違いしておりまして、全体の工期どれくらいということで御答弁申し上げたのでございますが、前にもお話し申し上げましたように、やはり旅客の関係からいいますと、急ぎますのは、新大阪から放出を通りまして加美までがまず第一期工事になろうかと思います。加美から杉本町にかけましてはこれは第二期工事になろう、こういうふうに思います。その中でも、実は放出から加美まで、これが非常に、一番の住宅街を通っておりますので、この区間を早く高架化すべきじゃないだろうか、こういうふうに考えておりますので、言うならばこれを第一、それからもう一つ新大阪から放出までを一ダッシュ、こういいますか、そういう感じでわれわれはしておるわけでございます。そうしましたときに、放出から加美までの工事がやはりまた一番工期もかかります。住宅街を通ります関係上、あるいは近鉄その他との立体交差との関係上工期もかかりますので、これに着工すべく今年度から立体交差、すなわち将来の高架化の工事の前提として着工したわけでございます。
○北側分科員 再度お尋ねいたしますが、私の申し上げておるのは、完成期間は大体どのくらいの見通しでやっておられるのか。たとえば、放出から加美までの区間ですね、なお八尾街道等がございます。これは当然高架化しなければいけない面もあると思います。そういう点から、高架化なさるのはまことにけっこうなんですが、やはり期間というものはなければこれは計画じゃないわけですよね。それをお聞きしたいと思うのです。
○長浜説明員 いま着工いたしました放出から永和までの区間は万国博までに間に合わしたい、こういうふうに考えております。これは単線で高架にいたします。これは万国博までに間に合わす、ちょっと苦労が要ると思いますが、むずかしいと思いますが、ぜひそうしたいと思います。それから、引き続きまして予算のつきぐあいによりましてその全体の問題をいつ着工するかきめていきたい、こういうふうに考えております。
○北側分科員 いまあなた言われたとおり、特に新大阪−加美が非常に重要である、私どももそう思いますが、また加美−杉本間も御存じのとおり――あなた御存じないかもしれない。大臣はもうよく御存じだと思うのです。いま大阪市の住宅建設というのは、ほとんど大半が東南部の東住吉区になっておるわけです。特にこの路線計画がある長吉−瓜破、この方面の住宅建設というものは、もうずっと団地なんです。ところがこの方面は、先ほど言いましたとおり、やはりバス運行しかないのです。少しバスに乗りおくれますと、もうハイヤーで帰る以外に手はない。そういうことで、せっかく入居なさっても非常に困っておられる。そういう点でこの工事も、私は新大阪−加美間に決して劣らぬ重要な路線だろうと思うのです。その点もひとつお願いしたいと思うのです。

第65回国会 衆議院内閣委員会第13号(昭和46年3月26日)
○山口(真)政府委員 ただいま先生御指摘の問題は、新大阪と南紀を結びまする旅客ルートの新設、それと東海道−阪和方面の貨物ルートの強化、そのために新大阪から片町線の放出、関西本線の加美を通って、阪和線の杉本町に至る二十七キロの既設貨物線、そこに一線増設をし、さらに電化を行なうという趣旨の工事であろうと思います。これにつきましては現在用地の買収に一部着手をしております。ただ何ぶんにもこの工事は総額二百五十億円の巨費を要する工事でございまして、いままで手をつけたところが用地関係で約十億程度でございます。したがって、今後輸送需要の動向だとか、国鉄の財政事情を勘案しながら、もう少し工事の進め方を検討してまいるというふうに考えております。
○長浜説明員 
 そのほかに第三次計画の中で計画にあがっておりましたのですが、まだその緒についたばかりである、というのは、実は城東貨物線の旅客を通すため複線電化にする、この問題でございます。これは、計画当初約百四十億か百五十億だったと記憶しておりますが、百四、五十億で新大阪から吹田を通りまして、そして放出を通って、加美、杉本町、こういうルートで城東貨物線を複線にしまして、加美から杉本町のほうは新しい線を敷設しなければならないことになろうかと思いますけれども、そういう計画で進んでおったわけでございますけれども、途中から、地元の皆さん方の非常に強い要望がございまして、せっかくつくるなら都市の将来の発展のために高架にしてほしい、こういうお話が出ました。それで計画を急遽変更いたしまして、これを高架化にする。もちろん、高架化といいましても、盛土の部分もありますし、あるいはスラブ高架の部分もあるわけでございますが、いわゆる道路とはすべて立体交差にする、こういう計画に変更したわけでございます。
【略】
○浅井分科員 大臣にお伺いしたいのですが、大阪の都市交通審議会大阪部会から三十八年の三月に、この国鉄城東貨物線の複線電化と客車運行ということで新大阪駅への連絡の必要性について答申がありました。先ほど質問された方へのあなたの御答弁は、交通審議会の答申を非常に尊重なさる。この計画では、近畿圏整備計画あるいは国鉄第三次長期計画にも取り上げることになったので、この杉本町間についても五十年度までにぜひ完成してもらいたい、このようにありました。この計画では、昭和三十八年から四十三年度までに新大阪から加美間すなわち十九・二キロメートル、第二期工事として昭和四十四年五月から加美から杉本町、このように城東貨物線を利用しての外環状線の建設が答申されておるのです。

第68回国会 衆議院予算委員会第5分科会 第3号(昭和47年3月22日)
○沖本分科員 【略】いままでの計画は新大阪から吹田を経て加美までですけれども、私が申し上げておるのは阪和線杉本町駅まで貫いた考え方、いわゆるほんとうの環状線になった状態のことで私は御質問しておるわけでございます。こういう関係がちゃんとなりませんとどうにもならない。最近、地方の主要都市でそれぞれ市内乗り入れ、市内の交通を改善するために地下鉄の導入というものが盛んになっているわけです。それほどまでに都市交通というものを地方都市自体が真剣に考えなければならない、金がかかってもこれはやむを得ないということから出ておるわけですから、いま大阪がかかえ込んでいる城東貨物線の環状線化というものがますます大きな比重を加えるわけでございます。
【略】
○山口政府委員 城東貨物線につきましては先生から再三にわたりまして御質疑がございました。私ども十分内容を承知しております。本線につきましては、大阪圏の高速鉄道網の建設という中の主要な内容をなすものでございまして、これに関しまして四十六年、昨年の十二月八日に都市交通審議会の答申がありました。これは「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備増強に関する基本的計画について」ということに関しまして答申がございました。その答申の中で、ただいまお話しの新大阪−放出−加美−杉本町間でございますが、これにつきまして、これは大阪市の都心業務地域を拡大分散するために必要となる路線である。したがって、大阪府並びに大阪市の地域計画の一環として、これとの調整をはかった上で建設をすべきものである。そうして国鉄の城東貨物線及び阪和線貨物線を一線増設の上、旅客運輸営業を行なうという方向でやりなさいという意味の御答申がございました。こういったような面に関しまして、将来ともこの大阪圏における基本的な重要な都市交通路線でございますので、国鉄の財政事情等とも勘案をいたしまして整備を進めてまいりたいと存じておるわけであります。
【略】
○長浜説明員 そういう状況でございまして、われわれとしては、いま御指摘の加美というところでとめないで、やはり新大阪から吹田を経由いたしまして、そうして加美を通って杉本町まで、そうして阪和線の輸送力の増強にもなるというような輸送体系をとるべきじゃないか。これはただいま運輸省のほうからお話がございましたように、都市交通審議会のほうでもそういう御意見が出ているようでございますので、われわれもその線に従っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○沖本分科員 【略】
結局城東貨物線がこれと同じような状態になってしまっては困るわけですし、そういう点も考え、また実際に踏み切っていただいても全線を一ぺんにやるわけではないので、何期間かに分けて工事をおやりになるということにもなるわけですし、相当早い時期に見通しを立てていただいて、地元にはっきりお考えを示していただいて進めていただいたほうがいいんじゃないかと思いますし、それからたとえば東住吉区あたりが、杉本町で通じるか通じないかということでバス路線とかいろんなものが関連してきておるわけです。あの辺に団地が一ぱいできておるわけです。団地の通勤客をどうさばくかということが大問題になっておるわけですね。

ちょうど首都圏の五方面作戦の頃で、大阪の議員から「東京は総武線東京乗り入れなどでどんどん金を使っているのに大阪はなぜ阪和線の高架化もできないのだ」というようなことを何度も主張されています。その際に、城東貨物線とあわせて阪和貨物線も整備すべきだという意見がでています。

第71回国会 衆議院運輸委員会、社会労働委員会農林水産委員会、建設委員会、公害対策及び環境保全特別委員会、交通安全対策特別委員会連合審査会第1号(昭和48年9月12日)
田代富士男君 
 時間がありませんから次に移りたいと思いますが、実は大阪の外環状線のことについてでございますが、大阪の地元、すなわち一応関西の経済の中心地でございますが、長い間の懸案として地元から強い要望が出されております。特に、もうこれは国鉄の本社にも届いていると思いますけれども、この地元の総会の議案といたしまして四つの要望の要旨が出されております。一つは全線の取得用地を早急に確保してもらいたい。二つ目には、用地及び建設に要する資金を確保してもらいたい。三番目には、新大阪と東住吉区の加美間の複線電化を即時に着工してもらいたい。それから、全線をスラブ高架にしてもらいたいと、こういう四つの要望が出されておりまして、国鉄におきましていまいろいろ御検討をしていただいていると思いますけれども、この要望に対しましてどの程度取り入れてもらえるのか、計画の概要、規模、予算、また関係各交通機関との接続等につきましても、もし説明できるものならば御説明をお願いしたいと思います。
○説明員(内田隆滋君) これは先生御承知のように、新大阪から放出を通りまして加美、それから杉本町に至る線でございまして、これを複線化して電車を運転いたそうというものでございます。延長は二十七・三キロメートル、工事費が約三百五十億、工期は約五年というふうに現在考えております。
 で、御承知のように、この線と交差いたします私鉄がたくさんございます。で、これらの線とどのように連絡していくかということは、今後各私鉄並びに地元の関係都市との協議によって決定をしてまいりたいというふうに考えております。
 工事の進捗状況といいますか、計画の進捗状況でございますが、本年度は調査費として約二億円を計上いたしまして、そして実際の工事を進める調査をやっておるわけでございます。
 なお、これに伴いまして、関係市町村との設計協議、その他高架化にいたします場合には、いわゆる建設省の都市計画事業という御指定もいただかなければなりませんので、その辺の準備を現在具体的に進めておる段階でございます。――計画が決定し諸般の条件が決定次第に用地の確保に入りたいというふうに考えております。
 なお、全線のスラブ高架化は、地元及び建設省との関係がございますが、できるだけ御要望に沿うように設計をいたしたいと思います。
 それから建設資金につきましては、われわれとしては地元の利用債ということでお願いをいたしておりますので、計画が決定し、諸般の事情がきまりましたらひとつよろしくお願いいたしたいと思います次第でございます。
田代富士男君 いま御説明いただきましたが、三番目に、新大阪と加美間の複線電化の問題でございますが、これをどのように今後計画に入れてもらえるのか、この点差しつかえなければ、お答えを願いたいと思います。それと同時に、地元の公共団体あるいはこの沿線住民との話し合いを積極的に進めなくてはならないですけれども、やはり一つの仕事をする場合に目標というものがなくてはなりませんし、まあ現時点で――現時点ですよ、現時点におきまして、計画の見通しや着工時期、あるいは期間は全線二十七・三キロ、五年間の歳月がかかるということでございますが、着工時期等につきまして差しつかえなければ、お答えを願いたいと思いますが、どうでしょう。
○説明員(内田隆滋君) 着工時期でございますが、これは地元との設計協議が済み次第ということでございまして、いまのところは四十九年度後半か五十年度の初めぐらいというふうに考えております。
 予算は利用債で確保していただければ、工事のほうはできるだけ計画に沿って進めたいというふうに考えます。
田代富士男君 三番の問題ですが……。
○説明員(内田隆滋君) これは当然旅客列車を動かすとすれば、電車化をせざるを得ないということでございまして、電化も当然複線電化ということで考えたいというふうに考えております。
田代富士男君 まだこれからは差しさわりがあるらしいのですが、時間もありませんから、また次の機会にしたいと思います。

第84回国会 衆議院予算委員会第5分科会 第3号(昭和53年3月1日)
○高橋説明員 外環状線につきましては、私ども、従来、城東貨物線と阪和貨物線をおのおの複線化いたしまして、そこに旅客を通すという計画で進んでおりましたところ、大阪圏の整備推進会議の方々の御意見もいろいろあって、長吉から南側について阪和線とどういうふうに連結するかという点については、別途いま検討をいたしております。
 これまでに、新大阪付近から長吉付近までについて、一応こういう高さのものでこういう幅のものを計画いたしますので、こういう高さでよろしゅうございましょうか、あらかたこういう構造でよろしいでしょうかということを関係の自治体の市長さんにお示しをいたしましたのですが、その際に、従来からある盛り土をコンクリートの高架橋に直してほしいとか、あるいはもう少しこの位置は、高架橋の長さを直してほしいとか、そういうような御要望がございました。私の方は、この高架化事業は都市計画事業によって行われるものでございますので、いろいろ費用の御負担等も含めて御協議を申し上げたいと思っております。ところが、いろいろな関係市がたくさんございますけれども、皆さんの御意見がまだ十分まとまっておりませんので、十分その点も御協議申し上げて、どういう構造物にするかということを決めた上で全体の工事費が固まってくるというふうにいま考えております。
 大ざっぱに申して、この辺は新大阪から長吉付近までで約千億かかる予定でございます。それから長吉から阪和線に結ぶところ、これはルートによりますけれども、これも五百億ないし一千億ぐらいのお金がかかるのではないかと思います。その場合に、これはその高架化の量によりますけれども、そのうち一割ないし二割ぐらいの地元の方々の御負担がまた出てくるというふうに考えております。
 それで、先ほど先生は、用地は大部分買えているではないかというふうにおっしゃいましたけれども、五、六年前に一部利用債を約十億ほど持っていただきまして、新大阪の駅の付近とそれから吹田の一部でございますが、そこについては区画整理事業が当時市の方で行われましたので、それとこの線との関連する部分の用地買収については済ませておりますけれども、当時買収した面積は約一万八千平方メートルぐらいでございまして、全体の計画を長吉まで進めますにも九万平方メートルぐらいの用地買収がまだ必要でございます。そういうことも今後詳細に詰めまして御協議を申し上げていきたいと思います。
【略】
○上田分科員 いずれにしても、大体何年度で完成するという目標は立ててもらわなければ困るわけで、目標を立ててもそのとおりにいままでいってませんからといって目標を立てないという法はないと思うのです。やはり、一応のめどを立てて、それの実現のために努力するというのは当然あってしかるべきだと私は思うのです。確かにそういう土地買収等でいろいろおくれるということはありますけれども、特に外環状線については多くが買収済みである、あと若干の問題点が地元との協議が残っているということでありますから、その点でやはり早急に地元と協議をしていただきたい、このように思います。
 それともう一つは、いわゆる国鉄の第三次長期計画の中にこれは入っておるわけですけれども、第一期工事が新大阪から長吉間ということでございます。これは早急に第一期工事を始めていただきたいということでありますが、同時に、第二期の工事が加美と杉本間にすでに線があるわけでございますが、ただ、第二期工事については、いわゆる長吉から松原を通って南下して和歌山との連絡を考えるという意味で阪和線に接続せよという要求も非常に強いし、これはどう考えておるのか。
 また、同時に、すでにあるところの加美から杉本間についても、地元に反対の意見もあるかもわかりませんが、同時にやはり電化してもらいたい、客車にしてもらいたいという熱意もあるわけでありますから、いままで地元に迷惑をかけてきたということも含めて、やはり両方生かす道を考えるべきだというふうに私は考えておるわけでありますが、その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
○高橋説明員 長吉から南へ向かいましては、最初外環状線という意味では、先ほど申し上げましたように、阪和貨物線と城東貨物線ということで、いま長吉−杉本町間に旅客運転をしたらどうだということを一応考えております。
 ところが、この線自体が杉本町の入口のところに非常にきついカーブがございますのが一つと、仮に外環状線をつくりました場合に、その目的が、域内の通勤交通というものと、それから阪和線から新大阪へ直通するという二つの目的を持つ線ではないかという問題と、もう一つは、杉本町から以南の阪和線自体が最近非常に混雑状況でございますので、そこの輸送量がもたない。そういういろいろな事情が実は最近考えられます。
 そこで、総合的に勘案をして、いま先生のおっしゃったようなことも十分御意見として取り入れることを考えながら、いろいろ今後検討していきたいというふうに考えております。

ここでは少し腑に落ちない点があります。まず、このころには地下鉄谷町線の延伸が決定されており、長吉地区から天王寺・東梅田へ直通することになっているはずなのに、なぜ「長吉方面の旅客化」にこだわっているのでしょうか。また、「加美〜杉本町間の電化」という発言がありますが、この区間はすでに電化されているはずです。

第87回国会 衆議院予算委員会第5分科会第2号(昭和54年2月28日)
○沖本分科員 私は、大阪の外環状線について御質問したいと思います。
 大阪では、これは運輸大臣もお耳をかしていただきたいのですけれども、地元では外環状線と言いますけれども、国鉄の方では城東貨物線になっているはずなんですがね。格づけが大分違うわけなんです。城東貨物線ということになりますと、これは戦前にできた土盛りの単線の貨物線であって、広がった大阪市内をこの貨物線が横切って、利用価値はない。これが土盛りになっておって交通遮断をし、市街の発展それから住宅あるいは経済の発展に対して大きな支障を来しておるということは事実なんです。そこで、万博に向かって急遽これを間に合わしてということで、国鉄の第三次長期計画の中にこれを含めた計画が出たわけですけれども、その辺から国鉄の赤字が問題になり出してきて、第三次長期計画が御破算になったというところから、この城東貨物線が幻の外環状線という形になっていったわけです。それで、いずれにいたしましても実現するということで、沿線の各市は国鉄債をずいぶん買わされて、十何年間綿綿としていまに至るまで期待をかけながらじっと待っているというのが事実なんです。
 それで、関東圏の総武線はずいぶん計画が遅かったわけですけれども、城東貨物線、外環状線を差しおいてどんどんやり出したわけです。当時、磯崎総裁にこの点やかましく言いますと、磯崎総裁は、それを余り言うと大阪の方はだめになりますよとおどかされたわけです。それでだめになると困るので、やかましく言わないで黙っていれば早く実現するんだろう、こう思っていたところが、そのうち磯崎総裁がやめられてしまって、これまた宙に浮いてしまった。
 当時の計画としては、新大阪とそれから阪和線の杉本町を結ぶ、吹田、高井田を経て八尾を通って杉本町に回る、こういうことであり、それから南港に大阪市のコンテナの埠頭があるわけですけれども、これを国鉄のオンラインの中に入れていくので、いわゆるコンテナ埠頭からレールを引いてコンテナをそのまま杉本町に持ってきて、そこから木津の方へ貨物線、新しい路線をつなぐ、そういう計画が実現するとかしないとか。あるいは堺の臨海工業地帯の貨物を鳳を経由するなり何なりしながら杉本町へ運んできて、ここから外環状線に結んでいくというような、いろんな計画がこの中であったわけです。そして大阪市と折衝したりそれぞれのところと折衝したり、いろいろな青写真が言われたりしていきながら来たわけですけれども、実際の面から言うと、東住吉区の加美までは用地の面で大体心配はない。そこから杉本町を結ぶ場合には用地買収が必要でもあるし、相当難問が起こってくるんじゃないだろうかということだったわけです。

昭和30〜40年代に都市交通審議会で答申されながら、その後の国鉄側の事情によって計画が延びていく様子が、よくわかります。