TVゲームの話

前回(id:ameni:20070414)の続き。
ウィザードリィでは、キャラクタや敵モンスターの呪文抵抗率は、おおざっぱに「抵抗率が大きいか小さいか」というように設定されています。細かく設定されている外伝でも、「魔法使い系:○○%、僧侶系:○○%」というように、系統ごとの設定です。
この魔法系統には、即死魔法やステータス異常化魔法もごちゃまぜになっています。たとえば魔法使い魔法のなかには、直接ダメージを与える魔法(ドラクエベギラマみたいなもの)や、敵を眠らせる魔法(同じくラリホー)などが属しています。このときに、ゲーム開発者側が、ボスキャラを睡眠させたくないと考えたとすると、「抵抗率90%」というような設定をすることになります。そうなると、ふつうのノーマル攻撃呪文も90%の確率で無効化されることになり、このボス戦では、魔法使いは役立たずキャラになってしまいます。ドラクエなんかでは、呪文ごとに無効化率やダメージ減少率が設定されていてこの不都合を回避しています。女神転生ではもっと直接的な設定になっており、ボスの属性は「破魔・呪殺系全無効」という専用属性が用意されていますし、真・女神転生ifでは更に「剣・火炎・衝撃のみ有効」となっています。準ボス悪魔たちがそろってこの属性になる物語的必然性はないのですが、この作品では、氷結や電撃といった種類の攻撃では状態異常を起こすため、ボス戦で有効になってしまうとあっさり戦闘が終わってしまうという事情があります。
そういう考慮がなく一括した呪文設定になっているウィザードリィでは、終盤の敵がことごとく「抵抗率 魔法使い系:90%、僧侶系:90%」みたいなものになっていて(それ以外の敵は一発即死できる)せっかくの攻撃呪文や状態変化呪文が生かせません。即死呪文や石化呪文みたいなものがすべての敵に効く必要はないとは思いますが、しかしまるで呪文が効かない(または異常に上げたレベルでないと呪文が効かない)というのも考えものです。
また、外伝3以後の最終ステージの敵の強さがインフレを起こしているという問題があります。呪文が与えるダメージの数値が変わらないのに、敵のHPが高く設定されているために、最強の攻撃呪文をいくらかけてもエンカウント敵を倒せない、ということになってしまっています。
 
これらの問題は明らかに、ウィズが初期のシステムのまま敵を強くしたことが原因になっています。ほぼシナリオ1(トレボー)のルールのままダイアモンドナイトだのドラゴンズケイヴだのを作ってしまったために、どうしてもゲームとしての面白さが損なわれてしまう、というわけです。個人的には、基本職のまま転職しなくてもなんとか全ての敵を倒せる範囲で、敵を強くしてほしいです。この点は、特定のキャラを使わないとボス戦で著しく不利になるという、キャラ使用条件に妙なクセがあるウィズ(外伝3以後)やメガテン(カジャ系を知らないと倒せない)が、いま一つ殻を破れない原因なのかなと思います。いや、そんな殻など破らなくて良いのだ、殻万歳、というのならともかく。