TVゲームの話が続きます。

前回(id:ameni:20070412)の続き。

よく、ウィザードリィはクリア目標がないゲームだ、といわれることがあり、確かにそういう傾向があります。ただ、そうはいっても全く課題がなく全てのプレイスタイルが等価値なのかといえば実際はそうでもなく、「固定敵を一通り倒して称号をつける」というあたりは、たいていのプレイヤーが一通りクリアしているところです。
さて、シナリオ1(トレボー)での最も強い固定敵は、最下層の最も奥にいる魔法使いワードナとヴァンパイアロードです。ある程度成長したパーティーなら簡単に倒せるために、パーティー編成の自由度も高く、たとえば魔法使い×6とか、戦士×3プラス僧侶×3といったパーティーでもがんばれば目的を達成できるうえに、初級職が転職しないままいつまでも居続けるというのも(MURAMASAやGARB of LORDSを装備できないという欠点はあるものの)可能でした。
一方、シナリオが進んで例えばディンギルになると、最も強い固定敵といえばドラゴンの洞窟にいるダイアモンドナイトとダイアモンドドレイクです。こいつらはまともに闘って勝てる相手ではなく、ノーフィス(敵の魔法無効化率を下げる呪文)を全員で一斉に掛けてからサイオニック呪文で混乱させる、などの特定の戦法をとる必要があります。そうなると、その戦法に合わせたパーティーを編成する必要があり、そのためにキャラメイクの自由度は下がります。まあ、種族や職業が多くなっている外伝3以降ですと、そのままだと自由度が大きすぎて収拾がつかなくなるので、ある程度の縛りがあったほうがいいといえばいいのですが。それでも、特定の種族・職業の者がいないと著しく不利になるわけですから、これだと普通のRPGであって、あまりウィズらしくないなという気もします。
でもって、ここからがウィズならではの話なのですが、初期のシナリオのシステムに従ってキャラクタを作ってきたプレイヤーにとっては、ディンギルあたりというのはどうもやりにくいのです。私の周りには、「スーパープレイヤーは作らない」という信念を持っている方もいます。この方は、前衛の攻撃担当キャラには決して呪文を覚えさせようとはせず(侍と君主の呪文は使わないそうです。忍者がアルケミスト呪文を覚えるようになったBCFにはかなり絶望したようで)、呪文担当キャラは故意に装備を貧弱にしているという徹底ぶりです。私はそこまでの域には達していませんが、それでも、専門職が好きですから余計な技能は身につけさせたくありません。しかしそれだと、ディンギルあたりでは相当にやりにくいのです。「ドワーフの侍」が好きで今までずっと彼を使ってきたキャラクタ(私ですが)にとって、ドワーフには装備できない侍専用鎧みたいなアイテムには、けっこう考えさせられます。ここで割り切れるのならいいのですけれども、なかなかそうもいかず、愛着あるキャラをゲーム進行の都合で変質させたくないな、という気持ちがあります。
そこでどうするかといえば方向性は2つほどあって、まず1つはドラゴンの洞窟を無視することです。特定の呪文を多用するような戦法をとらざるを得ないような場所に立ち入ることを放棄しさえすれば、想像力を広げて自分好みのキャラクタ達を活躍させることができるわけです。もう1つの方向は、最終ステージを攻略する専用のキャラクタを作ることです。自分のパーティー(というかファミリー)に異質な存在(トカゲ君主とか毛むくじゃら侍とかネコ人間とか)が入り込むという点を乗り越えられれば、あとは「お客さん」が最終敵をやっつけてくれるから常連キャラの活躍する余地がある、ということになります。この、クリアのために常連以外のキャラを作るというのは、すでにシナリオ3(エル・ケブレス)の時点で多くのプレイヤーが試みました。このシナリオでは善悪両方のパーティーを作らなければいけないので、正規軍とは別のチームを作る必要がありました。これについては、多くのユーザーから、面倒だという批判がありました。さてそうなると、ゲームを進める上で必須となる2パーティーを作るのが面倒だというのなら、最終ステージのために別パーティーを作るというのはなおさら面倒だということになり、それならば最初から最強パーティーで臨むよ、ということになりそうです。
ですが、特に初期作品でのキャラ設定をずっと引きずっている私みたいな者にとっては、面倒とか何とか言っている場合ではありません。女神転生なんかでも(真1〜ifあたりまで)、ボスキャラ対策で「冥界波」「天罰」「カジャ系」が使用できる仲魔、最終ステージ対策で攻撃力・防御力が高い仲魔を用意するのは当然のこととして、それとは別にお気に入りの悪魔を最後までCOMPに入れていたり、魔王・魔神という「レベルだけ高い」キャラを趣味で入れたりすることがあります。ここで、趣味のキャラの比率が高くても何とかなるゲームに慣れてしまうと、攻略用キャラが必須となるようなゲームに接したときに「なんだか普通のRPGみたいだ」「キャラを作るというよりは作らされてるみたいな感じ」という違和感を覚えるのです。初期ウィズに慣れたユーザーが外伝3以後にふれたときの感覚は、こういうものなのでしょう。