キログラム原器とアンペア定義(4)

前回(id:ameni:20051110)のつづき。

昭和41年改正

昭和41年の計量法改正(昭和41年7月1日法律第112号)によって、電気関係の規定が追加されました。従来、電気関係については計量法ではなく電気測定法によって規定されていましたが、これが一本化されることとし、電気測定法は廃止されることになりました。
この改正の際に、電流の定義が変更されています。従来は銀の析出量によって定義されていましたが、これを、2本の導線が互いに及ぼす力によって定義する方法に改められました。昭和23年の国際度量衡総会によって決定されていたこの定義は、現在でも使用されているものです。
また、直流と交流とを別々の法令によって定義していたのも改められ、計量法に一本化されました。交流での電流を定義していた逓信省令は、昭和42年通商産業省令第79号によって廃止されています。

計量法(昭和41年5月10日)【計量法の一部を改正する法律(昭和41年法律第112号)による改正後の法、第3条1号〜2号と4号、第4条】
(基本単位及び現示)
第3条 長さ、質量、時間、電流、及び温度の計量単位は、次のとおりとする。
 1 長さの計量単位は、メートルとする。
   メートルは、クリプトン八六の原子の準位2p10と5d5との間の遷移に対応する光の真空の下における波長の一、六五〇、七六三・七三倍に等しい長さとし、国際度量衡総会の採決に従い政令で定める方法により現示する。
 2 質量の計量単位は、キログラムとする。
   キログラムは、国際キログラム原器の質量とし、メートル条約によつて日本国に交付されたキログラム原器で現示する。
 4 電流の計量単位は、アンペアとする。
   アンペアは、真空中に一メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形断面積を有する無限に長い二本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の長さ一メートルごとに力の大きさが一〇、〇〇〇、〇〇〇分の二ニュートンの力を及ぼし合う不変の電流として通商産業大臣が現示する。
   アンペアは、交流の電流においては、前項のアンペアで表わしたその電流の瞬時値の二乗の一周期平均の平方根が同項のアンペアに等しい電流とする。
 
(原器及び副原器の保管)
第4条 前条第2号のキログラム原器及びそれにより製造したキログラム副原器は、通商産業大臣が保管する。
 
附則【一部改正法の附則】
(電気測定法の廃止)
第2条 電気測定法(明治43年法律第26号。以下「旧測定法」という。)は、廃止する。

このとき、電流を基に電力、電圧、抵抗の順に定義するという方法が採用され、電磁気において電流が基本単位となるという系統が法的に確立されました。また、電流の旧定義では、質量と時間に依存していましたが、この新しい定義では、長さと力に依存しています。

第51回国会 衆議院商工委員会第33号(昭和41年5月10日) 
○三木国務大臣 次に計量法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 計量法は、計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的として昭和二十六年に制定されたものでありますが、同法につきましては、計量に関する法制の一元化のため電気測定法を計量法に取り入れることが懸案となっておりましたほか、近年、計量器産業の技術水準が高まったこと、一般消費者保護のため商品取引における計量の適正化をはかる必要性が強まっていること等、幾つかの基本的な事情の変化が生じております。
 これらの点にかんがみ、政府といたしましては、昭和三十八年六月、計量行政審議会に対し、法改正に関する諮問を行ない、昨年五月その答申を得て以来、同法の改正を慎重に検討してまいりました結果、ここにその成案を得て提案することといたした次第であります。
 本法案は、計量法を相当広範囲にわたって改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
 第一は、計量関係法制の一元化のため、電気関係の計量に関する法律である電気測定法を廃止してこれを計量法に統合することとし、これに応じ電気関係の計量単位及び計量器についての規定を追加整備することであります。
 第二は、計量単位につきまして、最近の国際度量衡総会等の決定に基づき若干の単位を法規制の対象として加える等の変更を行なうことであります。

第51回国会 衆議院商工委員会第45号(昭和41年6月23日) 
○大村委員 次に国際単位移行の問題ですが、今度の法改正の一つとして国際度量衡総会で重要な決議が行なわれた。したがってわが国もその決議に従って計量単位の規定を改正しよう、こういうことのようであります。この国際関係の決議、これはそれこそいろいろややこしい内容がありまして、角速度のラジアン毎秒ですか、それから立体角のステラジアン等を計量単位として追加するとか、その他いろいろ複雑でややこしいことがたくさんきまっておるようであります。この中で電気のアンペアの単位の問題一つを取り上げてみましても、この国際単位というのはずっと昔からあったわけでありますが、わが国におきましては明治四十三年以来五十六年間国際単位とは違うものが使われておったと私は認識しておるのですが、間違いでし上うか。ちょっとそこら辺説明してください。
○藤波説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のとおり電気関係の単位につきましては、明治四十三年制定の古い電気測定法にきめられておりまして、それは国際電気単位できめられておったものでございますが、今回電気測定法を廃止をして、計量法と合体をする際に全面改正をする機会に、絶対単位へ移り変わる、こういう案で盛られておるわけでありますが、ただ内容的に申し上げますと、その両単位の間の差というものはきわめて微少なものでございます。
○大村委員 いま説明なさいましたように、国際法上の単位は即わが国の単位に相なっているかというと、そういうことに必ずしもなっていなかった部門があるわけです。この国際度量衡総会の決定というのは一九六〇年ですか、いまから五、六年前にこれは決定されておったようですね。一般国民にはたいして支障はないのですが、学術研究、こういう部門についてはやはり国際単位を自動的といいますか、そういう決議があり世界的にそれが使われる場合には、わが国も直ちに取り入れる、こういう体制が私は望ましいのではないかと思うわけです。しかし今日の法改正でそれが合わされるとしてもすでに五、六年おくれておる。したがって事業法を改正しなければそれが取り入れられないということでなしに、事業法は事業法として改正してもよろしいし、据え置いてもよろしい、単位の問題だけは別の法律といいますか、そういう独立したものにして、事業法を改正しなくてもそれが直ちに単位の法律だけを改正すれば取り入れられるというような、もう少しスピーディーにやれないものでしょうか。私はそのことが学術研究をスムーズに世界との比較において行なわせる重要な問題だと思います。一般国民には確かにぴんとこないし、たいした問題じゃありません。そういう点についてひとつお考えになる意思はございませんでしょうか。
○赤澤政府委員 御指摘のようにこの計量法という法律は、いわゆる計画の単位をきめておりまするいわば単位法、それから計量器を中心にいたしました計量器のいわば製造事業の取り締まりと申しますか、そういうものと、また計量器を使用いたします面における消費者の保護、こういったような三つの大きな柱がそれぞれ一本の法律の中にまざっておる法体系をなしております。ただここで問題になりまするのは、計量の単位と申しますといかにも抽象的でございまするが いずれにいたしましても単位を正確に表現をいたします機械がなければ、ただ抽象的に単位というものだけがあるわけではございません。したがいまして、単位と、その単位をあらわす機械、つまり計量器、これとの間はいずれにいたしましても密接不可分のような関係にありまするので、これが一つの法体系のもとに行なわれておる、こういうたてまえに相なっておるわけでございます。
 国際度量衡総会でございまするが、これはもう御存じのように計量単位の確立あるいは精度の向上、また計量単位計の整備、こういうことを主たる目的といたしまして世界的に行なわれておる総会でございます。ここでいろいろな決議が行なわれるわけでございまするが、この決議自身はもちろん各国を拘束するものではございませんが、それぞれの各国の事情に応じましてこれを各国が取り入れる、国際的な一定の標準のもとに学術研究をはじめとして全体の進歩をはかっていく、こういう趣旨に相なっておるわけでございます。私どもといたしましてはこの総会の決議がございまするととにかく早急に取り入れられるものはすぐに取り入れるわけでございまして、たとえば昭和三十六年の法改正におきましては、メートルの定義の変更、あるいは温度の計量単位の変更あるいはカンデラの基本単位への組み入れ、この三点を三十六年の改正、すなわち総会の決議の翌年に御提案申し上げ、ここで可決をしていただいたわけでございますが、その他の単位につきましてはやはり国内の各科の学会あるいはこれを具体的にあらわしまするところの計量器の関係メーカー、こういった点につきまして十分な討議をいたしまして、その辺の結論がまとまりましたところでスムーズに新しい単位に移行していくという必要がございましたので、今日まで見送っておりました。かつまた全体の計量法体系が整備をされるという今回の改正を機にこれを取り入れるということにいたしたわけでございます。御指摘のように単位法だけ別に取り出してという考えもあろうかと存じまするが、やはり単位を規定いたします法律と、単位をあらわします計量器の行政というものが一元化されたほうが、私どもとしては適当ではないか、かように考えます。ただ、御指摘のように、今後度量衡総会における決議等につきましてはできるだけ早くその内容を検討し、関係の向きとも協議をいたしまして、スムーズにこれが実行されることが望ましいことは申すまでもないと存じます。
○大村委員 関連してお尋ねしますが、日本学術会議、それから計量行政審議会、これが国際決議を受けていろいろ審議をされたと思うのですが、結論はいつ出たのですか。答申ですか結論ですか、その時期をお尋ねしたいのです。
○赤澤政府委員 計量行政審議会は、この全体の答申を昨年の五月にいたしておりまするが、計量単位の問題につきましてはさらに学術会議等におきまして検討していただいておりまして、学術会議から最終的にこういう単位を制定するのがよかろうという御答申をいただきましたのは本年の一月でございます。これをもとにいたしまして、今回の法律案を策定した次第でございます。
○大村委員 わかりました。六年間日本学術会議においていろいろと検討された、長いじゃございませんかと言っても、しろうとの私ですからあまり立ち入った御意見は差し控えます。ですが、いま御答弁になりましたように、できるだけ早目に取り入れる、こういう姿勢だけはひとつ今後とも変えないでやっていただきたいと思います。

第51回国会 参議院商工委員会第17号(昭和41年4月12日) 
○政府委員(赤澤璋一君) 次に、主要な改正点につきまして、提案理由の順序に従って補足的に説明をいたします。
 第一に、電気の計量についての規制を行なっている電気測定法を計量法に統合し、電気の計量についても計量法で規制することとする点であります。
 電気測定法は、明治四十三年の制定にかかる全文十一条の非常に簡単な法律で、今日の考え方では法律に規定すべき事項を勅令や省令で規定しており、これを近代的な法制にすることが懸案になっておりました。そして、同法と計量法とは、計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保するという点で目的を同じくするものであるので、両法は統一することが妥当であると考えられていたのであります。改正案は、電流のアンペアその他の電気関係の計量単位を計量法に追加するとともに、電力量計その他の計量器を本法の規制の対象として加えること等により、支障なく両法の統合を行なっております。
○永岡光治君 明治四十三年ですか。それから、この計量法ができましたのが昭和二十六年と思いますが、その計量法ができるときに、すでにある明治四十三年に制定されておりました電気測定法というものを、今回統合する以前において、二十六年の段階で統合できなかったのかどうかですね。なぜ統合できなかったのか。今日はそれを統合するだけの条件が変わってきたのかどうかですね。その点の答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(赤澤璋一君) だいぶ前のことでございまするので、当町の事情については、私も実はあまりつまびらかでございませんが、計量法の制定が議題になりました昭和二十六年当時、やはり計量法の制定にあたって、電気測定法一本にしたらということが議論になったように聞いております。政府部内におきましても、この両方の統一をしたいということで、何度かその点についての検討が行なわれたという記録が残っております。ただ残念なことに、当時まだ昭和二十五、六年といういわば終戦後の混乱の時期でございました。計量法一つまとめるにも、相当な困難があった時代であったように思います。そういう関係から、一挙に電気測定法を入れ込むというだけの準備がそろわないために、そのまま別法として残されたという事情であったかと存じます。その後十五年たってまいったわけでありまするが、その間数回にわたりまして計量法の改正が議論されました。そのたびに電気測定法を入れたらということで、やはり検討が行なわれております。今回、これを踏み切りましたわけでありまするが、何と申しまするか、そういう何度かの仕切りを経て、いってみれば、ここで機か熟したと申しまするか、そういう形になって、今回これが統合された。また一方では、電気計器──あとで御質問封かあれば御説明したいと思いますが、電気計器検定所というようなものもはっきりとできまして、電気計器についての検定の体制も整ったというような事情等も加わりまして、今回これを統一するということになった次第でございます。
○永岡光治君 まだその点がどうもはっきりしないんですが、昭和二十六年の段階でこの法律を統合しなかった理由ですね、何か特別な障害なり支障があったのかどうか。確かにあった、だろうと思うんです。なければ、おそらく統合しただろうと思います。それをはばんだ何かがあっただろうと思うのですが、それは何があったんですか。それが今日はどういうように解消されたから、それが統合されたんですか。
○政府委員(赤澤璋一君) 先ほど申し上げました、何ぶん十五年前の古いことでございまするので、記録でしか私どもわからないわけでございます。当時いろいろ議論がありました中に、一つは電気関係は戦争中に当時の商工省に統合されたわけでございますが、それ以前は逓信省の所管でございます、電気関係の事業につきまして。逓信省の所管でございます。そういうふうなこともあって、その後商工省に統合され、終戦後、また商工省、通産省というふうに行政が移ってまいったわけでございます。電気測定法はもともと、先ほど申し上げましたように明治四十三年に制定をされておりますが、その当時の所管は逓信省であったというふうに私ども記憶いたしております。そういったことから、当時終戦後、まだ五、六年口でございまして、いわば法律体系あるいは行政組織といったものにつきまして、いろんな考え方が当時内外にあったように言われております。そういう点もあって、一挙にこの法律を入れ込むということに、やはり若干の難点と申しまするか、あるいは二の足を踏むと申しまするか、そういったような事情があったというふうに私ども承知をいたしております。

平成4年改正

さて、この後に法制度上の変化があるのは平成4年です。
このときに計量法が全部改正され新法が公布されましたが、単位の定義については政令に規定することになりました。ですから国会会議録では、単位についての議論のようすはわかりません。

計量法(平成4年5月20日法律第51号)
(定義等)
第2条 この法律において「計量」とは、次に掲げるもの(以下「物象の状態の量」という。)を計ることをいい、「計量単位」とは、計量の基準となるものをいう。
 1 長さ、質量、時間、電流、【略】
 
国際単位系に係る計量単位)
第3条 前条第1項第1号に掲げる物象の状態の量のうち別表第1の上欄に掲げるものの計量単位は、同表の下欄に掲げるとおりとし、その定義は、国際度量衡総会の決議その他の計量単位に関する国際的な決定及び慣行に従い、政令で定める。
 
附則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
計量法施行法の廃止)
第2条 計量法施行法(昭和26年法律第208号。以下「旧施行法」という。)は、廃止する。
 
別表


 物象の状態の量
 計量単位
 長さ メートル
 質量 キログラム グラム トン
 時間 秒 分 時
 電流 アンペア
【以下略】

計量単位令(平成4年11月18日政令第357号)
(計量単位の定義)
第2条 法第3条に規定する計量単位の定義は、別表第1のとおりとする。
2項 メートル、アンペア及びケルビンは、通商産業大臣が現示する。
 
別表第1(第2条関係、国際単位系に係る計量単位)


 物象の状態の量
 計量単位 定義
 1 長さ メートル(m) 真空中で1秒間の299792458分の1の時間に光が進む行程の長さ
 2 質量 キログラム(kg) 国際キログラム原器の質量
 グラム(g) キログラムの1000分の1
 トン(t) キログラムの1000倍
 3 時間 秒(s) セシウム(Cs)133の原子の基底状態の2つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の91926317790倍に等しい時間
 分(min) 秒の60倍
 時(h) 秒の3600倍
 4 電流 アンペア(A) 真空中に1メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の1メートルにつき1000万分の2ニュートンの力を及ぼしあう直流の電流又はこれで定義したアンペアで表した瞬間値の2乗の1周期平均の平方根が1である交流の電流

単位定義についての議論はそれほど多くはありません。SI単位系への移行など論点がたくさんあるので、メートルの定義が変更されたことはそれほど重要視されてなかったのでしょう。

第123回国会 衆議院商工委員会第8号(平成4年4月22日) 
○渡部国務大臣 計量法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 計量法は、明治二十四年に、その前身である度量衡法が公布されて以来百年間の長きにわたり、計量単位の統一、計量標準の供給、計量器の適正な品質の確保等を通じ、単に商業取引の秩序を保つのみならず、我が国の産業の発展、文化の向上に大きく貢献してきております。
 しかしながら、近年、我が国の経済社会は、国際化と技術革新の大きな流れの中でさまざまな変化への対応を迫られており、経済社会の発展の基盤として、計量制度の果たすべき使命はますます重大となる一方、時代に即した計量制度の構築が求められているところであります。
 このような要請に対応するため、国際化、技術革新への対応及び消費者利益の確保の三つの視点に基づき、広く計量法全般にわたり所要の見直しを行うために、今般、本法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 まず第一に、計量単位について国際的な整合を図るため、計量法上取引・証明に使用することが認められている法定計量単位を、原則として今世紀中に国際単位系に統一することとしております。

第123回国会 衆議院商工委員会第10号(平成4年5月13日) 
○熊野政府委員 ただいま和田委員の方から御指摘のございました、計量単位が法律でわからないということであったのでありますけれども、ちょっと御説明をさせていただきますと、法律第二条におきまして、「この法律において「計量」とは、物象の状態の量を計ることをいい、「計量単位」とは、計量の基準となるものをいう。」ということで、例えば「物象の状態の量」というのは、長さでありますとか質量でありますとか時間でありますとか温度でありますとか、それから電圧とか、あるいはいろいろ、放射線の放射強度でありますとか、そういうのを物象の量と申しておりまして、それに対応する計量単位は、例えば長さについてはメートルというところまでは法律の別表に書かれてあるのでございます。ただ、ではメートルというのは一体どういう定義にするかということは、技術的にも大変難しゅうございますし、現に時々、非常に正確に申し上げますと国際的にも定義自体が変わっていったりしているわけであります。そこで定義は政令に任せていただいたわけでありまして、長さという物象の状態の量、その計量単位はメートルである、あるいは質量という物象の状態の量、その計量単位はキログラム、グラム、トンとするというふうに法律の中で定めさせていただいているわけであります。
 そこで、そういう単位を、いわゆる非SI単位からSI単位の統一へ向けてこの法改正をお願いしているわけでございまして、どういう進め方をしていくかという御質問でございますけれども、いろいろ現在これを二十八単位につきまして漸次法定計量単位から削除していくわけであります。それにつきましては、それぞれの使用頻度でありますとか、計量機器の耐用年数等々あるいは使用の実態等に対応いたしまして、三年組、五年組、七年組という猶予期間を設けまして、その間に漸次そういう非国際単位を法定計量単位から削除していくことになっているわけであります。それで、そういったものを法律とかあるいは省令等にありますものも、この間に漸次政府部内で関係省庁と協議しながら、改正等をしていくつもりにしておりますけれども、現時点では法律でそういうものが使われておりますのは二法令ございます。それから政省令体約二十ぐらいの政省令にそういう関係のものがあると承知をしております。
 いずれにいたしましても、その実施に当たりましては、関係省庁、それからそれを使います国民の皆様あるいは特に専門的なものにつきましては関係業界の皆様に十分御理解をいただきまして、順次そういうことを進めていきたい、こういうふうに考えております。