続・国道ネタ

前回までの文章の一部をこっちにまとめてみました
まとめついでに加筆訂正しています。たとえば、明治18年に指定された国道のうち東京を起点・終点としない唯一の例外が26号(大阪〜広島鎮台)なのですが、そのことを書き忘れていました。
 
さてここで、「昭和27年国道の指定区間」をみてみます。
そもそも大正国道の指定方法は、「東京と府県庁所在地を、少ない本数で結ぶ」というものです。そのために、東京から遠い県庁所在地を結び、その線上に途中の県庁所在地を通過させるという方法を採用しています。例えば東京から岡山市広島市の両方を結ぶときには「広島に達する道路」を設定すれば、途中の岡山市も結ばれます。そうなると、東京から最も遠い県庁所在地、例えば札幌市や鹿児島市を指定すれば、大半の府県庁所在地は結ばれることになります。
さて、この方式ですと、「東京を起点とせず、府県庁所在地を通過しない道路」は、指定されないことになります。大正国道は東京と府県庁所在地との連絡であるわけで、府県庁所在地どうしの連絡は県道の任務です。ゆえに、奈良街道(大阪〜奈良)や木曽街道(名古屋〜松本〜長野)は、大正国道として指定されませんでした。
 
ところが、これについていくつか例外があり、その一つが41号です。これは昭和になってから追加指定された路線であり、「東京都より和歌山県庁所在地に達する路線」として、松阪市新宮市田辺市和歌山市を結びます。ところが、和歌山市は既に15号、16号で連絡されています。41号の路線上では県庁所在地は通過しません。となると41号は、指定不要な道路のはずです。この例外はほかにも、19号*1や24号などにみられます。また、16号も同様に、路線上に県庁所在地が存在しませんが、これはひょっとすると御堂筋を国道指定したかったのでしょうか。
 
ではここで、大正国道のうち、重複部分を除外してみます。

1 東京〜伊勢神宮
2 四日市〜鹿児島県庁所在地(熊本経由)
3 北九州〜鹿児島県庁所在地(大分経由)
4 東京〜北海道庁所在地
5 福島〜青森県庁所在地
6 東京〜宮城県庁所在地(水戸経由)
7 東京〜千葉県庁所在地
8 東京〜草津甲府経由)
9 東京〜新潟県庁所在地
10 高崎〜秋田県庁所在地 (長野・新潟経由)
11 豊野〜石川県庁所在地
12 名古屋〜石川県庁所在地
13 岐阜加納町〜岐阜県庁所在地
14 軽井沢〜下諏訪
15 京都〜和歌山県庁所在地
16 大阪〜和歌山県庁所在地
17 小郡〜山口県庁所在地
18 京都〜山口県庁所在地(鳥取経由)
19 岡山〜米子
20 姫路〜鳥取県庁所在地
21 明石〜徳島県庁所在地
22 岡山〜徳島県庁所在地
23 高松〜愛媛県庁所在地(高知経由)
24 善通寺愛媛県庁所在地
25 鳥栖長崎県庁所在地
26 鹿児島〜沖縄県庁所在地
27 札幌〜第七師団司令部所在地(旭川区)
28 青森〜岩見沢
29 宇都宮〜第十四師団司令部所在地(栃木県河内郡国本村)
30 豊橋〜第十五師団司令部所在地(愛知県渥美郡高師村)
31 横浜〜横須賀鎮守府所在地(横須賀市
32 海田市〜呉鎮守府所在地(呉市
33 武雄〜佐世保鎮守府所在地(佐世保市
34 福知山〜舞鶴鎮守府所在地(京都府加佐郡舞鶴町)
35 敦賀舞鶴鎮守府所在地(京都府加佐郡舞鶴町)
36 東京〜横浜港
37 大阪〜大阪港
38 神戸〜神戸港
39 下関〜下関港
40 門司〜若松港
41 松阪〜和歌山県庁所在地
 
こうしてみると、昭和27年の一級国道とよく似ている感じがします。
特に、敦賀〜綾部間が一級指定されて日本海側が縦貫線を形成しているのに、太平洋側は三陸あたりで一級指定されていないので海岸線をなぞっていない理由は、地域人口だけでは説明できませんでした。
しかしそれでも、岡山〜米子(福渡を経由して出雲街道をなぞる)や軽井沢〜下諏訪(中山道)は、昭和27年指定から外れています。このあたりは検討課題ですね。

*1:18号が島根県庁を通らないので、意義がまるでないわけではありませんが。