1種なき2種

前回(id:ameni:20140703)の続きです。
5)
このような、1種なき2種は、現在は7か所あります。1.だけは枝線、その他は連絡線です。
1. 東海道線 入江信〜新興
2. 武蔵野線 新小平〜国立
3. 武蔵野線 南流山北小金
4. 武蔵野線 南流山〜馬橋
5. 奥羽線 新青森〜東青森
6. 信越線 越後石山〜東新潟
7. 東海道線 吹田貨物ターミナル〜梅田信〜福島
かつては、あと2か所ありました。
8. 東海道線 梅小路丹波口
9. 片町線 放出〜平野
これらの共通点は、JR移行当時は旅客定期列車がなく、国鉄再建法施行令の表に掲載されている路線という点です。

37 奥羽線 津軽新城から分岐して東青森まで
56 片町線 放出から分岐してそれぞれ八尾及び平野まで
120 信越線 越後石山から分岐して大形まで
156 東海道線 入江から分岐して新興まで、梅小路から分岐してそれぞれ丹波口及び京都市場まで、吹田から分岐してそれぞれ福島及び尼崎まで、
220 武蔵野線 新小平から分岐して国立まで、南流山から分岐してそれぞれ北小金及び馬橋まで

その後、8.はJR貨物の2種が廃止されたために、1種・2種の両方とも設定されていない短絡線になりました。そして9.は、放出〜久宝寺のほうが第3セクターの1種(おおさか東線)となったために「第3セクター路線の枝線をJRが保有している」という形になるのを避けようとしたのか、JR西が改めて1種を設定しました。この点については、駒鉄太郎さんのデータベースでは「なんとJR西日本営業キロを新設した」と表現されています。私も当時はびっくりしました。
また、区間などを変更したものもあります。6.はもともと国鉄再建法施行令では「越後石山〜大形」間でした。途中の東新潟駅のホーム位置が変更されて(それまでは上下ホームの間に操車場がある形になっていました)、新潟貨物ターミナル駅も開業したために、現在のJR東日本の会社要覧では「越後石山〜東新潟」となっています。(なお、wikipedia大形駅のページには、かつて信越本線の駅であった旨の記述はないようです)
5.では、青森信〜東青森の部分について平成22年に第3セクター(青い森鉄道)に移管されていますが、それでもJR東日本の会社要覧では新青森〜東青森を含む、となっています。この部分は厳密には「1種なき2種」ではないかもしれませんが(青い森鉄道の路線は、県が第3種です)、しかしこの部分は依然、奥羽本線の一部「でもある」ことになります。
6)
しかしそれぞれの区間をよく見ると、細かい様子は多少異なっています。さきに挙げた、武蔵野線連絡線(新小平〜国立)のパターンにすべてのケースがあてはまるわけではないのです。
まず、2.3.4.の武蔵野線グループは、すべて同じ経緯をたどっています。開通時に区間とキロが告示されるも、「日本国有鉄道線路名称」(線路名称公告)には「貨物支線」とのみ記載され、その後に政令には区間を記載され、それを基にJR貨物が第2種鉄道事業者となるが、旅客会社のほうは独立したキロを設定せずに事業基本計画では「○○線 △△△〜△△△(○○〜○○を含む)」と書かれる、という流れです。
5.の奥羽線新青森〜東青森も、上のグループとよく似ています。ただこの区間は、一時期(昭和49年〜昭和59年)に線路名称公告に掲載されていました。手荷物・小荷物の扱いをしていた時期です。同様の路線は、6.信越線 越後石山〜大形、7.東海道線 吹田〜梅田〜福島、8.東海道線 梅小路丹波口、9.片町線 放出〜平野です(東海道線の吹田〜梅田間は、昭和40年に扱いを開始しています)。
それらに対して、1.の東海道線 入江信〜新興は、様子が異なっています。この区間は、短絡線ではなく枝線です。ゆえに旅客列車のほうでキロ設定をする必要はなく、事業基本計画で「(○○〜○○を含む)」という書き方もされていません。むしろJR貨物のほうで、なぜ「第2種」という扱いにしたのかが不明なところです。こういう場合には、旅客化または廃止が予定されていたという事情があることがあるのですが、そういう場合には一般に旅客会社の所属にしておく扱いであるはずなのに、入江信〜新興についてはその様子もありません。この区間は、現在は廃止状態で線路もないのですが、しかしどこも「第1種鉄道事業の廃止」をしていないことになります。2種だけの廃止というのは、8.東海道線 梅小路丹波口ですでに見られたところです。ちなみに、wikipedia東海道本線では京都貨物駅丹波口間について、「旅客鉄道会社の営業キロ設定なし」と書いていますが、現在は貨物会社側もキロ設定していません。