民法債権法(1)

メモです。今年もつくってみます。
1 債権の目的
《1》特定物債権

(特定物の引渡しの場合の注意義務)第400条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

*特定物債権とは、特定物(物の個性に着目ex中古車)の引渡しを目的とする債権。
*債務者(ex売主)は、善管注意義務を負う。
*他の物で代用した引渡しは、債務の履行にならない。また、その物に瑕疵があっても、そのままの状態で引き渡せば、債務の履行になる。
*目的物が滅失した場合には、引渡債務は消滅する。なお、滅失が債務者の帰責事由による場合は、債務不履行の責任を負う。
《2》種類債権
*種類債権とは、物の種類・数量に着目した(ex新車)債権。
*瑕疵がある物を引き渡しても、債務の履行にならない。
*給付物の品質を当事者が決めていないときは、中等の品質の物を給付する。
*目的物(給付しようと用意していた物)が滅失しても引渡債務は消滅せず、目的物を調達して引き渡す義務が残る。
*種類債権の目的物は、次の場合には特定する(種類債権の集中・特定)。
+債務者(ex売主)が、物の給付をするのに必要な行為(ex物の提供)を完了したとき
+債務者が、債権者の同意を得て給付すべき物を指定したとき
《3》選択債権
*選択債権とは、債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まる債権。
*選択権者は、合意がないときは、債務者。
*債務者の選択権は、意思表示によって行使される。この意思表示は、相手方の承諾を得なければ撤回することができない。
*選択は、遡及効があり、債権発生時に給付内容が決まっていたことになる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
*選択権者が第三者である場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする。
*債権の目的である給付の中に、不能のものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する。ただし、選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは、不能の給付も債権の目的である。選択権者は、これを選択して、給付にかわる損害賠償請求をすることができる。
 
2 弁済
《1》弁済
*弁済とは、債務の内容である特定の行為が行われること。弁済によって、債権は消滅する。
*弁済の場所・・・合意がない場合、(1)特定物の引渡債務は、債権が発生した時にその物が存在した場所。(2)それ以外の債務は、債権者の現住所。
*弁済の費用・・・合意がない場合、債務者が負担する。ただし、債権者の移転等によって弁済費用が増加した場合、債権者が、増加額を負担する。
《2》弁済の相手方
*受領権限がない者に弁済をしても、効力は生じない。
*真正な受取証書(ex領収書)の持参人に対しての、善意無過失での弁済は、有効。
*債権の準占有者(ex詐称代理人)に対しての、善意無過失での弁済は、有効。
《3》第三者による弁済
*第三者も、弁済・代物弁済をすることができる。
*第三者による弁済により、債務は消滅し、求償権が発生する。
*以下の場合には、第三者弁済は禁止される。(1)性質上許されない場合(2)当事者が禁止した場合(3)債務者の意思に反する場合(利害関係者による弁済は除く=有効 ex物上保証人)
《4》弁済による代位(代位弁済)
*代位弁済とは、第三者の弁済によって、原債権と担保権が弁済者に移転する(求償権)もの。
*ただし、担保権の被担保債権は、原債権のまま(原債権の消滅事由により担保権も消滅する)。
*任意代理は、債権者の同意を得て行う代位。任意代位では、代位を債務者・第三者に主張するには、債務者の承諾または債権者による通知が必要。
*法定代位は、当然に発生する代位。法定代位では、代位を第三者に主張する要件は不要。

(法定代位)第500条 弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。

*正当な利益を有する者は、後順位担保権者、保証人、連帯債務者など。
《5》弁済の提供
*弁済の提供は、債務の本旨に従った現実の提供を必要とする。
*ただし、債権者があらかじめ受領を拒んでいた場合や、債務の履行について債権者の行為を要する場合には、弁済の準備をして受領催告すれば、弁済の提供となる(口頭の提供)。
*弁済の提供により、債務者は、債務不履行の責任を免れる。
+債権者の同時履行の抗弁権は、消滅する。
+以後に増加した弁済費用は、債権者の負担となる。
《6》代物弁済
*代物弁済とは、債権者の承諾を得て、本来の給付内容と異なる他の給付をすること。
*弁済と同一の効力が生じる。
*代物に隠れた瑕疵があった場合には、善意の債権者は、損害賠償を請求できる。また目的を達成できない場合には、解除できる。(売主瑕疵担保の準用)