テキスト的なもの

初学者がいきなり細部を学習するのは、全体像を把握できなくなるからよくない、といわれます。一度目に学習した時点ではわかりにくかったところが2回目にはわかる、であるとか、後で学ぶ知識が前の内容をわかりやすくするとか、そういう話です。
それに関連して、よく「完全に理解しようとするな、ある程度の理解ができれば先に進んで、また戻れ」みたいなことを言われることがあります。これも確かにそのとおりです。ただ、初学者は、どの程度をもって「ある程度の理解」なのかがよくわからないので、へんなところでこだわって先に進めなかったり、逆に大雑把な理解しかしないせいで後の項目の理解の妨げになってしまったりすることもあります。
ある単元を学習する際の一例としては、3段階の学習(教材)があります。まず大雑把に全体像を見渡す時期、次につまずきやすい内容や複雑な内容をトピック的に解きほぐす時期、そして最後に網羅的に体系を積み上げる時期です。
最初の時期では、「この単元ではどういう内容を学ぶのか」ということをおおまかにふれます。知識項目どうしのつながりや流れが大切になってくるので、読み物のような感じの参考書がいいかもしれません。あるいは、表や箇条書きのような形でアウトラインを示すようなものもよいでしょう。
次の時期に必要なのは、ピンポイントで、複雑な内容を解きほぐすことです。いわゆる論点つぶしの学習です。これも、読み物のようなものがいいです。受験参考書などでは、この種のものは今ではけっこう充実していますから、すぐに自分にあったものが見つかるかな、という気がします。
そして最後の時期です。最終的には構造化された知識がもっとも強く頭に残りますから、体系的な学習が不可欠です。読み物のような参考書で学習を終えてしまうと、断片的なトピックは覚えているけれども、全体像が把握できない、ということになってしまいがちです。

もちろん、非常に理解しやすいような内容であるとか、前後の関連性が強い内容などについては、また別のアプローチがあると思います。いきなり細かい知識をビシバシ覚えていくのが性に合っている、という人もいるでしょう。私も、樹形図を描くように体系を作り上げるのが好きです。