会社法(1)

前回(id:ameni:20100927)のつづき。会社法

定款

(1)定款の作成

(定款の作成)
第26条1項 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

発起人が定款を作成し、発起人全員が署名・押印する。
定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じない。

(2)絶対的記載事項
絶対的記載事項:定めがないと、定款の効力が生じない事項。
定款には、目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額などを記載しなければならない。
「発行することのできる株式の総数」は、定款に定めていないときには、発起人全員の同意によって、定款を変更して定めを設けなければならない。

(3)相対的記載事項
相対的記載事項:定款に定めないと、その規定の効力が生じない事項。
1:「累積投票による取締役の選任請求」をできない旨。
2:発起人全員の同意がない場合に、(1)発起人が割当を受ける設立時発行株式の数、(2)成立後の会社の資本金(資本準備金)の額。

(4)検査役(裁判所の選任)の調査が必要な事項
現物出資、財産引受けの約束。
現物出資は、発起人しかすることができない。
検査役の調査不要: 現物出資財産等(現物、引受財産)につき、(1)価額が500万円以下、(2)価額が相当であることにつき弁護士・公認会計士・税理士の証明

がある。

設立

第25条1項 株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
1号 次節から第8節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
2号 次節、第3節、第39条及び第6節から第9節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集を

する方法

(1)発起設立
発起人が、設立に際して発行する株式の全部を引き受ける方法。
引受後遅滞なく、金銭の全部、財産の全部を給付しなければならない。
ただし、発起人全員の同意があるときは、登記等(対抗要件具備行為)は、会社成立後でもよい。

(2)役員選任
「設立に際しての役員」を定款で定めていないときは、出資履行完了後、発起人議決権の過半数で選任しなければならない。
選任された取締役は、現物出資の当否などを調査し、不当・法令違反・定款違反の場合には、発起人に通知しなければならない。
調査は、取締役・監査役の全員が、それぞれ独立して行う。

(3)募集設立
発起人のほか、株式を引き受ける者を募集する方法。
引受人は、払込期日までに、株式の払込金額の全額を払い込む。
払込の履行がなされると、発起人は、遅滞なく創立総会(設立時株主の総会)を招集する。

(4)創立総会
決議: 設立時株主の議決権の過半数、かつ、出席者の議決権の3分の2以上。
招集時に決定した目的である事項以外は、決議できない。
ただし、(1)定款の変更、(2)設立廃止、については、決議できる。
創立総会で、その延期・続行につき決議があった場合には、株主への通知の必要はない。

(5)発起人の責任
現物出資財産等の価額が、定款に記載された価額よりも著しく不足する場合には、発起人・設立時取締役は、連帯して、会社に不足額を支払う義務がある。
ただし、当該者以外の発起人・設立時取締役について、(1)検査役の調査を受けたとき、(2)職務を行うにつき注意を怠らなかったことを証明したとき、には、支払

義務はない。
募集設立の場合、(2)は適用されない。

(6)損害賠償
生じた損害についての、発起人・設立時取締役・設立時監査役の賠償責任。
会社設立について任務を怠ったとき、会社に対して責任を負う。
職務を行うについて悪意又は重過失があったとき、第三者に対して責任を負う。

株式

(1)共有
株式が共有に属するとき、共有者は、権利行使者1人を定めて、会社に通知しなければ、会社に対して権利行使することができない。
 例外)会社が権利行使に同意したとき。
権利行使者は、必ず共有者から選任する。
権利行使者は、単独で議決権を行使することができる。

(2)通知を受領する者
共有者は、会社からの通知・催告の受領者1人を定めて、会社に通知しなければならない。
この通知がない場合、会社は、共有者のうち1人に対して通知・催告すれば足りる。
ただし、剰余金の配当などについては、適用されない。

(3)株主の権利/「1株」の保有で行使できる権利
裁判所の許可がなくても、1株の保有で行使できる権利。
発起人・設立時取締役・清算人の責任追及などの訴えを提起できる。
取締役・執行役・清算人の違法行為などをやめるよう請求できる。
上2つは、公開会社では「6か月前から引き続き株式を有する」者に限る。(定款で期間短縮できる←株主有利)
株主名簿・株主総会議事録・定款・計算書類: 閲覧・謄写を請求できる。
会社設立・株式発行・資本金の額の減少・会社合併・会社分割など: 無効の訴えを提起できる。

(4)株主の権利/大株主の権利
大株主:(1)総株主議決権の100分の3以上の議決権を有する株主、または、(2)発行済株式の100分の3以上の株式を有する株主。
定款で要件変更・期間短縮できる(←株主有利)
会計帳簿: 閲覧・謄写を請求できる。
会社の業務の執行に関し、不正・定款違反などを疑う事由がある場合: 検査役選任の申し立てを裁判所に請求できる。

(5)大株主の請求権
大株主は、取締役に対して、目的事項・理由を示して株主総会の招集を請求できる。
訴えをもって、役員解任を請求することができる。
100分の3議決権要件の例外:議案につき議決権を行使できない株主、当該請求の対象役員は、請求できない。
100分の3発行済株式要件の例外:当該会社、当該請求の対象役員は、請求できない。
定款で要件・期間短縮できる←株主有利
役員の法令違反があるにもかかわらず、(1)解任の議案が株主総会で否決された場合、(2)株主総会の解任決議が種類株主総会で効力を生じない場合。