営業キロの話・JR西

JR西日本の路線名・区間営業キロについては、事業概要に記載されている記事があります。今回の記事に関係する路線(関西線、東海道線)を抜粋すると、下のようになります。

東海道線
 米原〜神戸 143.6
 吹田〜尼崎  10.7(北方貨物線)
関西線
 亀山〜JR難波 115.0
 八尾〜杉本町   11.3(阪和連絡線)

事業基本計画に準拠した内容であり、ウィキペディアなどの記事もおおむねこれに従っています。
さて、一方で、JR西はデータで見るJR西日本という情報も公表しています。(58・59ページには上述の事業概要と同様の営業線区の記載があります)この124ページには、線区別電化のあゆみという記事があります。電化の歴史が一覧でき(また大鉄・天鉄の冷遇ぶりもよくわかり)非常に価値の高い記事なのですが、気になる項目がいくつかあるので、書き出してみます。

関西線
 久宝寺〜杉本町 S27.9.1 直  11.3
 奈良〜JR難波 S48.8.13 直  41.0
 木津〜加茂  S63.3.13 直  6.0
 木津〜奈良  S59.10.1 直  7.0
東海道線
 米原〜京都  S31.11.19 直 67.7
 京都〜吹田  S12.10.10 直 35.2
 吹田〜神戸  S9.7.20 直 40.7
貨物線(本線)
 吹田〜尼崎  S33.10.1  直 10.7
 吹田(操)〜梅田 S44.9.13 直 (7.6)
 梅田〜福島  S45.4.1 直  (0.9)
 東灘(信)〜神戸港 S56.4.1 直 (3.4)
 吹田(信)〜大阪貨物ターミナル S57.11.15 直 (8.7) 第2種鉄道事業

まず関西線の阪和連絡線をみてみます。阪和線とつながっているために、湊町〜奈良の本線区間よりも先の電化です。当時の電化区間といえば国電区間くらいしかなかったのですが、国鉄はこの区間国電を走らせるつもりだったのでしょうか。でもって、ここで気になるのは区間営業キロです。事業概要のものと同じキロ程(11.3キロ)なのに区間が異なるのです。
実際に架線が張られた電化区間は竜華操車場〜杉本町である一方、区間の両端は駅(旅客・貨物)とするという原則があるので、事業概要と電化のあゆみとの相違が起きたのでしょう。電化のあゆみのほうではなるべく実測に近い区間を採用する一方で、営業キロは従来のものを採用したためにズレているようです。となると、キロ程のほうも、実測に近い形を記述すればいいのかな、と思います。
 
そして、今回のメイン、東海道線(貨物線)です。ツッコミ所が多い項目なのでざっとみると、まず梅田貨物線の起点がなぜか「吹田(操)」という記述になっています*1。でもって、梅田貨物線(吹田(操)〜梅田〜福島)の営業キロがちゃんと設定されています。これについては、電化の歴史を忠実に表記しようとした点に敬意を表したいところです。さらに項目を見ると、神戸臨港線が記載されています。この区間は廃止になったはずですし、もともとJR西ではなくJR貨物の路線であったはずです。ただ、この記事にはほかにも山陽線の項目で「幡生〜門司」という記述があったり(下関〜門司間はJR九州の路線)するので何とも言えないところです。
さて、今回の一番のポイントは、貨物線(本線)の最後の項目です。大阪ターミナル線があるのですが、ここに「第2種鉄道事業」という記載があるのです。はて。いつのまにJR西はこの区間の2種を取得していたのでしょうか。考えられる可能性としては、鳥飼の新幹線基地が近くにあるという関係か、あるいはこの区間に旅客列車を走らせる計画があるか、というところです。いずれにせよ、よくわからないところなので、こんど調べてみます。

*1:ここでもし、電化完成当時は操車場だったのだというのなら、同様に「JR難波」は「湊町」と書かなければ一貫しません。あるいは、吹田(信)とは別に吹田(操)があるのでしょうか。