理解不十分

時事通信が、小中学生の理科の知識が不十分であると報じています。
 
質量保存の理解不十分=小5と中2、正答は半数強−理科の特定課題調査・文科省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071127-00000101-jij-soci

化学反応後も物質の重さは変わらない「質量保存の法則」に関する正答率が小中いずれも50%台にとどまり、自分で実験方法を考え出す力も不足していることが分かった。

ですが、ちょっと待ってください。産経の記事(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071127-00000971-san-soci)をみると、この調査では

水100グラムに食塩20グラムを溶かしてできた食塩水の重さ

を出題しているようです。時事通信のほうは「化学反応」と書いていますが、塩化ナトリウムの溶解は化学反応ではないはずです。このあたりは「化学変化と物理変化の相違」として、中学校で学習するはずです。
なんだか、時事通信記者の「化学反応の理解不十分」という感じです。
でもって、その産経でも、

100グラムの水に20グラムの食塩を溶かした後の重さを聞く設問では、状態変化で質量は変化しないという「質量保存の法則」の理解が中学生になっても深まらず、120グラムよりも小さくなると誤解している児童・生徒が多かった。

と書いています。融解は状態変化ですが、溶解は状態変化ではないはずです。さらにいうと、こちらのほうが違和感が強いです。化学変化のほうは、まだ塩化ナトリウムの電離を「化学変化の一種」と言い張ることもできますが、溶解は状態変化とは呼びません。
 
ともかく、子どもの理科の学力が、と言っているわりには、これらの記事は重さと質量との区別もつけていないわけで、なんともいえません。