単独基本地名駅より早く開業した「国名*」駅(1)

デスクトップ鉄さんのところ(id:desktoptetsu:20061220)でも紹介されていた「鉄道忌避伝説の謎―汽車が来た町、来なかった町―」を読みました。以前私が大崎支線の文章を書いた時に参考にした「山手線誕生―半世紀かけて環状線をつなげた東京の鉄道史―」にも、「東北本線の開通の際に、板橋宿の住民が線路の通過に反対したので田端経由となったが、その後に赤羽線が建設された際には積極的に駅誘致を行ったので板橋駅が設置された」みたいな記述がありました。上野から浦和方面を通るのに板橋を通るものなのか?とちょっと腑に落ちなかったのですが、これも忌避伝説の一つなのでしょう。ひょっとすると。
 
さて、デスクトップ鉄さんの本家データルームをみてみると、「単独基本地名駅より早く開業した「国名*」駅」という記事があります。普通は、国名を冠する駅名というのは、本家駅の後に営業開始した駅か、あるいは本家駅・本家地名の方がはるかに有名な場合に、紛らわしくなるのを避けるためつけます(河内松原駅など)。
ところが、土讃線の土佐穴内駅は1934年開業ですが、土佐くろしお鉄道の穴内駅は2002年開業なので、前後関係がずれていて奇妙なのです。
これは実は、1974年廃止の土佐電鉄に穴内駅が存在しており、これの開業が1930年なので、土佐穴内駅はこれとの名称重複を避けて「土佐」をつけたのです。
同様な例は、ざっと書いてみると、


基本地名駅
事業者・路線開業日備考

溝口
JR西・播但1898/3/28(なお、南武線より以前に伯耆溝口駅も開業)

椿
JR東・五能1926/4/26(1959/11/1/ 八森に改称)

三日市
JR西・北陸1910/4/16(1956/4/10 黒部に改称)

宮原
鹿本鉄道(廃)1918/12/26(1965/2/4 廃止)

神谷
名鉄三河島(廃)1926/9/1(1949/12/1 松木島に改称)

あたりでみられます。
ところがですね、越後岩塚あたりは私もちょっと調べただけではわからないんですよ。名古屋市交の岩塚駅の前身にあたる名古屋市電の岩塚駅かなとも思ったのですが、市電の駅との名称重複を避けるためにわざわざ信越本線の駅が国名を冠する、というのも少し考えにくい話です。土佐穴内の場合は近接駅での名称重複回避という意味があったのですが、岩塚は離れていますし。