民法債権法(5)

前回(id:ameni:20130122)のつづき。
9 保証
《1》保証債務
*保証とは、債務者が債務を履行しないときに保証人が履行責任を負う、という契約である。
*保証契約は、保証人と債権者との間でする。→主債務者は当事者ではない
*保証契約は、書面ですることを要する。
*保証債務は、主債務に付従する。ex主債務の無効により保証債務も無効となる
*行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。
*相続により混同したときは、保証債務は消滅する。しかし、保証債務に抵当権が設定されたときなどは、消滅しない。
《2》保証債務の内容
*保証債務は、主たる債務よりも重くすることはできない。→減縮される
*主たる債務が減少すると、保証債務も減縮する。
*保証債務は、主たる債務の従属物にも及ぶ。さらに保証債務は、債務不履行による損害賠償義務・原状回復義務についても及ぶ。
*保証債務についてのみ違約金・損害賠償の額を約定することが、できる。
《3》抗弁権
*保証人には、催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められる。

(催告の抗弁)第452条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
(検索の抗弁)
第453条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

*保証人は、主たる債務者が持つ抗弁権を援用することができる。ex同時履行の抗弁、消滅時効
*保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。
*主たる債務者に生じた事由は、保証人にも効力を生じる。ex時効の中断
*ただし、保証債務の内容を加重する事由は、保証人に効力を生じないex時効利益の放棄
*保証人に生じた事由は、主たる債務者に影響しない。ex時効の中断、債務の承認
《4》共同保証
*共同保証とは、複数の保証人による同一債務の保証。
*共同保証人は、平等に分割された債務について保証する(分別の利益)。
*特約がある場合、または、不可分債務の場合には、分別の利益がない(保証人が全部につき義務を負う)。
*共同保証人が弁済した場合には、主たる債務者だけでなく、他の保証人にも求償できる。
《5》連帯保証
*連帯保証とは、保証人が、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証。
*連帯保証では、催告の抗弁権や検索の抗弁権がない。
*連帯保証では、連帯債務の絶対効が適用される。ex連帯保証人者への請求は、主たる債務者にも効力が及ぶ。
*ただし、連帯保証人には負担部分がないので、債権者が連帯保証人の債務を免除しても、主たる債務者の債務が免れることはない。
*連帯債務の絶対効(他の者にも効力が及ぶ)…請求、更改、相殺、免除、混同、時効
*連帯債務の相対効(他の者には効力が及ばない)…絶対効以外