インソムニア

ロサンジェルス市警の敏腕刑事がアラスカの事件を指揮する話です。アラスカの夏は昼が長いので、刑事が不眠症になってしまいます。
サスペンスドラマとしては非常に楽しめました。刑事の捜査に疑問を抱くヒロインと、刑事の過去が明らかになる過程とが、テンポよく描かれています。話の筋も仕掛けも単純なので、ストーリーを追うのもラクでした。
しかしながら、この作品のテーマである「インソムニア」(不眠症)という部分はちょっと出し切れていないかな、という気がします。不眠のつらさと、それによる精神異常とがもうちょっと色濃く出せていたら、かなり優秀な作品になったのにな、という気がします。つまり、クライマックスではもっと世界を壊してもよかったと思います。そのあたりの理由によって、インソムニアは「映画らしさ」「映画の迫力」に欠けてしまって、不満が残るところです。まあ、手堅いサスペンス映画には、たいていこの物足りなさを感じるのですけどね。